アシュケナージが2度目のシベリウス交響曲の全集に着手した。今後のリリース予定をみると、ほぼ1年のうちに全曲がリリースされるようで、この精力的な活動には敬服するばかりです。
さて、今回の第1弾の録音を聴いてみての感想ですが、「北国の夏」のようなさわやかなシベリウス、とった印象です。私の場合、仕事柄、全国あちこちに出張するのですが、特に夏場の出張を終え、北海道に帰ると、その清涼なる空気を実感します。札幌のような都会でさえ、です。なんというのでしょう、空が近いんですよね。空の清浄な空気に大地がそのまま包まれるような感じがするのです。これは移動所要時間が短いと(羽田から千歳までわずか1時間半ですからねぇ)、ことさら実感することです。
そのフィーリングとそっくりなものを、特に今回の第3交響曲から感じました。第3交響曲という曲は、存在は地味なのですが、たいへん魅力いっぱいの曲で、シベリウスが「らしさ」を発揮しはじめた淡い情感と、いかにも作曲者の盛期にふさわしい豊かなメロディに満ちているのです。アシュケナージのスタイルは弦のさざなみのような動きをくっきり出し、その上で非常に柔らかく木管・金管陣をブレンドして歌わせるもので、本当に天高く伸びていくような音色が見事です。旧録音ではもっと求心的という感じだったのですが、今回は辺縁の広がりを感じます。地平線まで遮るもののない大地の音色ですね。
第1交響曲の同様で、冒頭の木管から清浄な空気が伝わってくるようです。しかも決め所の迫力も的確で、いいですね。ロイヤル・ストックホルムフィルも本当にいい音を出しています。オーケストラとの相性も良さそう。
いまから全曲分のリリースが楽しみになる1枚です。