フリージャズでも、演奏者のセンスと技量によって、雑音としか感じないか、そこに美を感じられるかが決まってきます。シェーンベルクの後期の曲も、多くの人にとっては、まるでホラー映画のサントラのように感じられてしまうかもしれません。しかし、ヒラリー・ハーンと、サロネン指揮によるスウェーデン放送交響楽団によるシェーンベルクのヴァイオリン協奏曲は、曲の構造を明晰にとらえながらも恐ろしいほどの美しさを感じさせる名演になっています。今後この曲の代表的名演として長く語りつがれることは間違いありません。
「小品名曲集」のようなアルバム作りには目もくれず、メンデルスゾーンやブラームスからエルガー、パガニーニ、バーバーと、協奏曲の名演を次々と生み出しているハーンですが、今回のアルバムは、これまで彼女が録音してきた協奏曲のなかでも屈指のものとなったといえるでしょう。その原因の多くが、サロネンの指揮とスウェーデン放送響の緻密な演奏にあることは確かです。できればこの組み合わせで、ベルクのヴァイオリン協奏曲を聴いてみたいです。あと個人的には、バッハの無伴奏全曲録音にもそろそろ挑戦してほしいなあ。イザイも聴いてみたいなあ。とにかく、恐るべき才能としか言い様がありません。