シベリウスの交響曲第2番の録音でもっとも好きなのが、このカラヤン&ベルリンフィルの1980年盤です。初発時のLPからCDまで、ずっと聴き続けてきた音源で、私にはこの演奏のテンポが,速すぎず遅すぎず、いちばんしっくり来ます。ところが音質が、初発時のLPの頃から思わしくなく、うすい弦楽器の響き、ささくれだった金管、皮の音ばかりのティンパニ、いかにもデジタル初期の失敗録音といった感じでした。初期CDでも音質は変わりなく、2007年に発売されたベルリンフィル設立125周年記念ボックスに収録されたARTリマスタリング盤で、ようやくバランスが整ったという状態でした。
そこで今回のEsoteric盤ですが、あくまで聴いた印象なのですが、DSD化するに当たってアナログ録音の「トゥオネラの白鳥」と「フィンランディア」で音決めをして、初期デジタル録音の交響曲第2番を、JVCのマスタリング技術で、可能な限りその音に近づけた、という気がしました。その結果、分厚い弦合奏、胴鳴りするティンパニ、重厚な金管、これぞカラヤン&ベルリンフィル、といった音響に生まれ変わっています。これまで発売されていたCDの音質を考えれば、ここまで修復できれば、もう十分ではないでしょうか。よくぞこの録音を取り上げてくれました。Esotericの慧眼には全くもって驚くばかりです。
なお「トゥオネラの白鳥」は極めつけの演奏だと思うのですが、「フィンランディア」に関しては、もっともバランスのよい1960年代のDG盤と、あまりにも濃厚で清冽さが失われていると感じる1980年代のDG盤との、ちょうど過渡期にあるように感じます。もちろん悪い演奏ではないのですが、78小節目から81小節目を随分はしょっているのは、楽譜に忠実な演奏が多いカラヤンにしては、どうだかなあ、という印象です。