シベリウスの作曲技法は初期の雄弁さから簡素さへ、華やかさから深さへと「深化」してゆくところに他にない特徴がある。中期の作品である「樹の組曲」「花の組曲」もピアニスティックな一面、なかには厳しいほどに音の少ない部分もあり、こういう過渡期の特徴がまた魅力となっている。このアルバム以降は起承転結すら明確でない禅問答のような曲が並ぶ。いきなりそれに当たると途方に暮れると思うので、シベリウスをコアに極めたいと思う人はこのアルバムあたりから始めておくのが良い。晩年の禅問答のような作品に興味があれば、同じく舘野氏監修の小曲集がピアノピース版で入手できる。併せて入手されれば味わい深いものになると思う。