映画評「銀の森へ」には、単館上映の作品から全国一斉ロードショーされた作品まで、幅広く取り上げられている。いたずらに玄人っぽくなく、かといって大ヒット作にもおもねらない著者のバランス感覚がうかがえる。書評「いつだって本がある」には、国内海外を問わず純文学からエンターテイメント、果てはポリティカル・ノンフィクションまでジャンルを横断して読み漁っている沢木の好奇心のありようが見てとれる。
しかし、スポーツ観戦記こそが本書のなかでもっとも注目すべきコラムだろう。長野オリンピックの16日間を追った「冬のサーカス」、日韓ワールドカップ観戦ルポ「ピッチのざわめき」では、熱狂の渦中で見過ごされがちなポイントを的確に捕らえて冷徹に批評している。たとえば、「ピッチのざわめき」に収められた「フィリップ・トルシエと日本代表II」、「どうしてあの時ベッカムは跳んだのか」ではゲームの裏側に潜んでいた、テレビ映像だけでは想像できない人間模様があらわにされている。中田英寿の、デイヴィッド・ベッカムの知られざる苦悩も明らかにされている。
読み進めていくうちに、端正な文体の中に隠れている著者の「情熱」を感じることができるだろう。(文月 達)
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早速、沢木の感想から自分が、おもしろそうな本を読み始めることにした。読み終えた後、再びその自分の感想とくらべることが出来そうだ。
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