物心ついてのち、ずっと感じていた、漠然とした、しかしながら確かな疑念;我々の祖国日本が、そんなに愚かな、極悪ともいうべき、現行の戦後史観がいうような、そのようなどうしようもない国”で果たしてあったのか、と同時に、大東亜戦争(米国による名称を訳したものが太平洋戦争)およびWWIIの戦勝国である、現在の国連常任理事国の国々が、本当に”正義”であったのだろうか。本書は、これらを一切合切払拭してくれました。しかも、歴史の事実がその当時への共感なくしては判断しえず、また、戦争や起こってしまった事象においては、一方が悪で、片方だけが正義なんて事は絶対にないということを教示してくれます。これは釈迦の見いだされた真理、すなわち因果=全ての物事は連関しており、何一つ単独で作用するものはない、をいみじくも裏付けるものです。しかしながら、本書はその一方で、日本人は今なおナイーブな民族であり、まさにその“お人好し”ぶりを再び現代においても繰り返している、おめでたい民族である、という事実をも苦笑とともに明示してくれます。すなわち、本書は、歴史への共感と透徹する目、そして歴史を真剣に考察すらばこそ、そこには真実があり、さらには現代の動きがそこにすべて濃縮されている、そう、歴史こそ現代の縮図であるということを、我々につきつけてくるのです。現在巷間にあふれている”常識”は、それはある偏向した”常識”でしかないことをも教えてくれます。私の迷妄たる目を、まさに開かせてくれたのが本書でした。ヘレン・ミアーズの『アメリカの鏡・日本』と併読されると、櫻井よしこさんのレベルにたった一歩ではありますが、近づけるはずです。賢明な読者の中には、イラク戦争の実相が、いかに大東亜戦争のそれと類似しているかをそこに読み取る方もきっとおられることでしょう。ぜひすべての日本人に読んでほしい名著です。