本書は、長年に亘ってロイヤル・ダッチ・シェルで活用されている意思決定手法「シナリオ・プランニング」を紹介したものである。
不確実な事業環境に身を置くと、やはり腰が引けてしまう。前例にもとづく意思決定を重ねてきたサラリーマン経営者の多くには、見通しの利かない事業環境の中で如何に行動するか、前例以外は皆目見当がつかない人も多いのではなかろうか。
このような際必要になるのは、因果関係のロジックを積み重ね、将来を洞察する力ではなかろうか。本書は、『シナリオ・プランニング』として編纂された手法を紹介し、その重要性を示してくれる。また、企業が不確実な環境のなかで、自社の強みをストレッチしコア・コンピタンスを形成することで、持続的な成長を如何に果たすべきかについても示唆を与えてくれる。
加えて、本書では社員が皆でシナリオ・プランニングの作業に参加することを薦めている。それは、組織として将来を洞察することを通じ、組織の学習能力の向上と戦略へのコミットメントが得られるからだ。
事業再生が必要な状況にあるにも拘らず、将来を洞察することも戦略にコミットすることもない多くの企業に一読頂きたい。