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シナプスが人格をつくる  脳細胞から自己の総体へ
 
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シナプスが人格をつくる 脳細胞から自己の総体へ [単行本]

ジョセフ・ルドゥー , 谷垣 暁美
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

人格の構造はシナプスのレベルからどの程度理解されているのか? 本書はこの疑問に答えようという壮大な試みである。著者が自身の大胆な仮説も導入してまとめあげる人格のシナプスメカニズムはまだ素描ではあるが、読者は読後に人格の構造を眼前に見るような手ごたえを感じるだろう。

著者の徹底して還元主義的なアプローチからは、意識的な自己以上に、自己の無意識的な部分が人間の精神活動・行動とその個性を生み出す構造が見えてくる。また、シナプスが脳内で局所的にも大域的にも, いかに可塑的であるかを本書は強調する。「遺伝」と「経験」は相互に影響するが、脳が生み出す人格の個性は、遺伝以上に外的あるいは内的経験がシナプスの可塑性に作用することで形作られるのだ。

さらに、自己という多次元構造の中で知・情・意のバランスがいかにダイナミックに変化しうるかについては、著者自身が多年にわたる情動メカニズムの研究から得た洞察を随所で明かしている。

 近年の神経科学の膨大な研究成果と、それ以上にたくさんの新たな謎を提示する本書は、心理学・精神医学・認知科学など人格/自己を探求する他分野へも無尽の示唆を与えるだろう。また、脳という偉大なパズルのスマートな解法を競う神経科学者たちの世界を垣間見られることも、本書の魅力のひとつである。

内容(「BOOK」データベースより)

あまりにも精妙な脳の素子、シナプス。ミクロの素子から人格の構造とダイナミクスが生じる仕組みを、情動の神経科学の第一人者が還元主義的に解き明かす。

登録情報

  • 単行本: 484ページ
  • 出版社: みすず書房 (2004/10/27)
  • ISBN-10: 462207110X
  • ISBN-13: 978-4622071105
  • 発売日: 2004/10/27
  • 商品の寸法: 19 x 13.8 x 4.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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22 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 一般向けに書かれた本ではあるが、内容は極めて専門的であり、ある程度の脳関係の知識がないと途中でいやになってしまうかもしれない。
 しかし難解で専門的な記述の箇所は半ば読み飛ばして行ってでも、この本を読んで得るものは非常に大きいと思う。
 筆者の立場は徹底してシナプスが織り成す回路、それこそが脳の様々な活動を行ううえでの正体である、ということに尽きている。特に筆者が力を入れて記述している扁桃体-海馬-前頭前野の神経ネットワークの研究報告を読むと、神経連絡・シナプスの可塑性という概念こそ今後の脳科学の大きな一分野となるであろうことがよくわかる。
 邦題サブタイトルにある「自己の総体」については、同様の議論で、『あなたはあなたのシナプスなのだ』という一文で終わってしまっており、一貫した主張から、確かにそのとおりであることは納得できるのだが、もう少し考察があっても良かった気がした。
 また、筆者の研究分野の立場上致し方ないことではあるのだが、情動系、特に恐怖反応付けの研究由来の神経回路の説明が多い。それだけならよいのだが、情動系のシナプス可塑性の議論をそのまま前頭葉出のワーキングメモリの概念に応用している節があり、やや誤解を招きかねない箇所があった。
 しかしながら、一読することで確かな知識が得られるし、近年特に多くなってきている中途半端な神秘主義的な脳・心の説明本の内容がいかに根拠のない主体的な議論にとどまっているか、ということがわかる名著であると思う。
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24 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ib_pata VINE™ メンバー
形式:単行本
 シナプスとはニューロンとニューロンの間にある隙間。「ニューロンが活性化されると、電気的インパルスがその神経繊維を流れ、その終末から神経伝達物質と呼ばれる化学物質が放出される」(p.3)。脳の活動はほとんどがこのシナプス伝達であり、過去のシナプス伝達によって書き込まれた情報が呼び起こされることで知覚・記憶・情動などのプロセスが生まれる。例えば、ある人にとって犬の記憶が子供の頃に噛まれた記憶と抜きがたく接続されていたら、大きな犬が近寄ってきたらすくみあがったり、恐怖を味わうだろう。一方、かわいいネコとの思い出があれば、それは…という具合にシナプス結合のパターンによって、その人がどういう人間であるか、ということが決まってくるわけだ。しかも、ありがたいことに、こうした記憶パターンは固定されたものではなく、今日の経験がシナプスに書き込まれることによって明日のシステム(つまり私たちの人格)が大きく変わってくるという可塑的で動的なシステムになっている、と。

 ペットのDNAを保存して、死んでしまった後に、それを使ってクローンをつくる、ということが実際にサービスとして行われているが、ルドゥーの立場からすれば、それはクローンではあり得ないということになる。だって、同じDNAを持っていたとしても、まったく同じ経験をさせないかぎり、同じシナプス結合はされ得ないわけで、性格まで完全に似てくるなんてことはどだいムリだからだ。

 一時期、複雑系なんていう怪しげな概念がもとはやされ、対象を要素に分割・還元して分析するという要素還元主義は古いなんてことがまことしやかに書かれていたりしたが、ルドゥーは徹底的な要素還元主義の立場から、人格とは何か、脳の働きとは何かというBig Questionに答えている。

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38 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 シナプスが人格をつくる,というタイトルだが,どこまで読んでも,シナプスがどのように人格をつくっているのかは,わからない。

 認知と情動とモティべーションについて,たとえば,目が何かを見るときに,脳のどこそこが機能している,恐怖を感じるときに,脳のどこそこが機能している,意思決定がなされるとき,脳のどこそこが機能してる,といった説明が,詳細になされているに過ぎない。こうした記述がなされることが,どうしてシナプスが人格をつくっていることの説明になるのか,わたしにはわからない。

 その説明は,研究史の紹介という形でなされるので,著者の意見がどこにあるのか,どこまでが確かな事実なのか,わかりにくい。

 著者が説明に用いるキー概念は「ワーキングメモリー」である。本書を読んでいると,ワーキングメモリーという実体が存在するかのように思えてくるが,前頭葉のニューロン・システムの一次的な情報貯蔵機能と諸情報の比較・対照,および判断などの実行機能をもって,ワーキングメモリーと呼んでいるのであって,こうした諸機能の総体をワーキングメモリーと一括して名付けると,脳の働きの説明においてたいそう効率的だ,というだけのことである。ワーキングメモリーを実体化するような記述は,いかがなものかと思う。

 もしニューロンの働きに関する本をすでに何冊かでも読んでいるなら,本書を読むことは,新鮮みに乏しい読書体験となるだろう。

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