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シドニー!
 
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シドニー! [単行本]

村上 春樹
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (13件のカスタマーレビュー)

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 「そんなもの、ただのメダルじゃないか」
   村上春樹は、徹頭徹尾オリンピックというものに懐疑的である。そんな彼が、シドニー・オリンピックの23日間を取材見聞してまとめたのが、本書だ。

   著者の取材態度は、一見していい加減。行く前から気になっていたトライアスロンとマラソン以外は、気の向くまま観戦したりしなかったり。開会式は途中で抜け出すし、天候が悪いといっては競技場を後にする。

   まじめではない。しかし、怠惰ではない。サッカーを観戦するために、わざわざ片道1000キロを一昼夜かけてドライブする。オリンピック開催期間の地元の新聞から、せっせとゴシップを拾って紹介している。彼は、競技という側面からだけでなく、その周辺を丹念に歩き、輪郭を浮き彫りにすることで、オリンピックというものの全体像をあぶり出したかったのだ。

   冒頭に有森裕子が登場する。その次に男子マラソン犬伏孝行の五輪前練習風景の描写が続く。なぜ、有森裕子なのか?彼女は、今回のシドニー五輪に出場しなかった。その彼女の、しかもアトランタ五輪でのマラソンレースを、村上はニュージャーナリズム風に描いて見せた。そのスタートからゴールまでの丸ごとを。さらに、最終章には、有森裕子のニューヨークシティ・マラソンの後のインタビュー。この構成もまた、村上のオリンピックにたいする懐疑的まなざしの表れなのだ。(文月 達)

内容(「BOOK」データベースより)

ひょっとしてあなたはテレビで見ただけで、オリンピックのすべてを見とどけたつもりになっていませんか?マラソン最終ランナーがゴールにたどりついたときのスタジアムのどよめき、オリンピック・パーク駅のカップル、コアラのトラウマ…なんかを知っていますか?「オリンピックなんてちっとも好きじゃないんだ」という小説家は現場で何を見たのか?村上春樹の極私的オリンピック、シドニーの23日間。

登録情報

  • 単行本: 409ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2001/01)
  • ISBN-10: 4163569405
  • ISBN-13: 978-4163569406
  • 発売日: 2001/01
  • 商品の寸法: 19 x 13.4 x 3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (13件のカスタマーレビュー)
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11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
溢れ出る感情 2002/2/23
By カスタマー
形式:単行本
村上春樹がシドニーでひかれたのは、自分の好きなスポーツと選手の感情。今までにないのは、文章が消化されずに吐き出されていることで、未知の国に対する驚きが素直に書かれている。それはアメリカとの比較になり、商業主義の権化であるアメリカとの狭間でかなり無防備になり、人間の質が垣間見れる。これまでの旅行記と違うのは、旅の目的とそれを生み出した土地との関係が、持ってこられた異物であるオリンピックと国のそれとは違うため。しかし・しかし、いかにオリンピックが金に汚されようとも、その主役の選手(目指す人達含む)にとってはかけがいのないもの。部外者には容易には非難できない。そして、著者のスタンスも然り・・・
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
序章とも言うべき、「アトランタ」がとてもいい。アトランタオリンピックでの有森裕子の走りを、本人に取材して書いたものなのだが、ノンフィクションというより、短編小説のような仕立てになっている。密度と息遣いを感じさせる文章。『村上朝日堂』風の、若干シニカルで、若干お気楽なタッチを予想して読み始めたので、軽く肩透かしをくらったような、でもその意外性がまたうれしい。

もうひとつの序章、犬伏孝行を描いた「広島」も、「アトランタ」ほどじゃないにしても、作家の観察力がよく出ていて読ませる。

しかし、本編のシドニーオリンピックを取材した部分になると、印象がもう一つ散漫になってしまう。『遠い太鼓』とか『雨天炎天』などのいままでの旅行記のように、旅行が終わってから全体を俯瞰した上で書かれたものと、毎日毎日見ては書く、という繰り返しからできあがった本書の違いかもしれない。それとも、この散漫さ、とりとめのなさが、オリンピックであり、また、オーストラリアという国だ、ということであって、それこそが作者が伝えようとしたことなのかもしれない。

ともあれ、オリンピックの間中、マスコミがさんざんあおりたてた情緒過多な報道とは、まったく違った視線がここにはある。聖火リレーで盛り上がる人々を見て、「どうしてこんなに多くの人がただの火のリレーを見るためにわざわざ集まってくるのか、僕には想像がつかない」という感想が出てくるくらいだ。そう、作者が言うように、「結局のところただの火」なのだ。だが、国家主義と商業主義の魔法をたっぷりとかけると、ただの火が「聖火」に変わり、人びとは興奮して集まってくる。それがオリンピック。

優れたアスリートたちが、ぎりぎりのところまで高めた自らの能力を、開放しつくす一瞬の感動もまた、オリンピックにはある。そのことも、きっちり描かれている。だが、その感動はたちまちのうちに「物語」に仕立てられ、消費され尽くされる。キャシー・フリーマンの勝利は、アボリジニーとの「和解」をほんとうに意味するのだろうか? 彼女の作り出した感動はほんものだったにせよ、これもまた、オリンピックをオリンピックたらしめるために作られた幻想だったのではないか、という気がしてならない。夢から覚めたオーストラリアという国家が、アボリジニーというトゲをどのように抜くのか見届けるには、これからまだまだ長い年月が必要だろう。

作者はオリンピックを「巨大なメタファー」と呼んだ。これほどの紙数をつくして、メタファーと実体とのつながりを作者に感じさせたものは何か。そのあたりの脱力感もまた、この作者のうまさなのかもしれない。

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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 読者
形式:単行本
村上春樹氏による、シドニーオリンピック(2000年)の記録。

あくまで個人的視点で、かつ文庫本では二冊になるvolumeで。

もう6年も前の時事を扱っているのに、経年劣化していない。

今読んでもあたりまえのように没頭してしまう。

そして、「走る人」達について書かせるなら、

この人以外にいないのでは?と思う。

村上さんは、もしかしたら本人以上に本人の言葉で語る。

この本の中には、「シドニーオリンピック」という空気が、

映像よりも近しくまるごとパッケージングされている。

その意味では二分冊の文庫版よりも、こちらの単行本の方がおすすめ。
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表の村上春樹の体温
 シドニーオリンピック日記ほか、その観察眼はまたひとつの村上ワールド。
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投稿日: 19か月前 投稿者: むっしゅう
今ならブログでしょ。
2000年にシドニーで開催されたオリンピックの、村上春樹的な日記。今の時期ならブログとなっているかもしれない。そう、この日記みたいに。... 続きを読む
投稿日: 2009/8/22 投稿者: ちゅんパパ
ワラビーの尻尾の肌ざわり
村上春樹『シドニー!』文藝春秋、2001年... 続きを読む
投稿日: 2009/8/10 投稿者: いつてん
優しい眼差し
村上のシドニーオリンピック観戦記。

エッセイの名手としての村上の評判は十分高いわけであり そんな村上が描くオリンピックも... 続きを読む
投稿日: 2007/6/2 投稿者: くにたち蟄居日記
シドニー五輪を複眼で見つめた個性派エッセイ!
 特にオリンピックに関心を持たない作家がシドニー五輪を題材に料理した本である。村上春樹って、関心のないものごとには徹底して関心がない代わりに、なぜこんなもの... 続きを読む
投稿日: 2001/4/28 投稿者: crimewave
やっぱ村上春樹だあね!(どうでもいいけど・・)
「遠い太鼓」以来のヒット作だと思いますよ、ホント。村上春樹さんのホンはほとんど呼んだけど、こういうエッセイを書かせたら右に出る人はいないね!なんたって文章表現のテ... 続きを読む
投稿日: 2001/2/8 投稿者: milesdavis2
ふたつの風景の中で
... 続きを読む
投稿日: 2001/2/8
オリンピックの裏側
マラソンとトライアスロン。この2つの違いは,最後まで行くか行くないかの違い。... 続きを読む
投稿日: 2001/2/4 投稿者: yass
村上さん、頑張ってます
... 続きを読む
投稿日: 2001/1/23
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