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5つ星のうち 5.0
米国医療の「恥部」が赤裸々に, 2008/5/13
レビュー対象商品: シッコ [DVD] (DVD)
「医療先進国」であるはずの米国には無保険者が5000万人いる。 書物でそんな記述を、何度目にしただろうか・・・ 「そうなのか」程度の感想しか持ち合わせなかった自分の想像力の乏しさに、いきなり一撃を喰らわされた。 映画の序章で「無保険者」の映像が流れる。 ケガをした自分の膝を自分で縫合する失業者。電気ノコギリで誤って指を2本切断し、高額治療費の余り、中指をあきらめた男性… これこそが正に、「無保険」状態なのだ。 しかし、これらはまだ本作の主題ではない。 保険に加入していても保険金給付が否認されるという市場原理主義。 保険会社に給付拒否をされ、妥当な治療が受けられず、家族を失った人が言う。 「病人のための保険会社が、いざというときに役立たなかったら、何のための保険なんですか!」 米国の医療保険システムと対比して登場するのがカナダ、英国、フランス、キューバの医療システムである。 無論これらの国々にも問題点はある。 しかし、負け組になってしまったら、医療そのものが受けられなくなる米国との差は歴然としている。 エピローグでムーア氏の語る言葉は印象的である。 「結局、人は皆、同じ船の客なのだ。どんな違いがあるにせよ、一緒に泳ぐか、沈むしかない。意見の違いを乗り越えて助け合っていくしかないのだ。」 その言葉に胸が熱くなった。 日本の医療制度は、どっちを向いているのだろう。 本作は米国医療の問題提起を目的にする余り、偏見や脚色もあるかも知れない。 それを差し引いても見る価値は十二分にある。 医療者にとっては必見と言って過言ではなかろう。 【追加】 特典映像を収載したDISC2は、本編以上に必見です! アレイダ・ガベラ(チェ・ゲバラの娘、キューバの医師)やトニー・ベン(英国労働党の元国会議員)へのインタビューが敢行されており、 ムーア監督との深い含蓄のあるやり取りは、医療政策を考えていく上で、極めて重要なものです。
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5つ星のうち 5.0
病気も怪我も金次第のアメリカの病める現状をドキュメント, 2008/4/9
レビュー対象商品: シッコ [DVD] (DVD)
内容は先進国とおぼしき国々の中で、唯一国民皆保険制度が施行されていないアメリカでの怪我人、病人の惨状をドキュメントしたものです。 ・保険に加入できない人達・治療費が払えず家を売り飛ばす人・加入できても保険会社が難癖つけて保険料を支払わない実情・政治家が保険会社と癒着・治療費が払えず道に捨てられる患者・元保険会社社員、認定医の懺悔・アメリカとあまりにも違う患者厚遇なカナダ、フランス、英国・キューバの現状・911テロのボランティアが治療費免除認定されていない現実などをシリアスに、時にはムーア流ブラックユーモアをたっぷりに見せてくれます(127分)。 特典映像は2枚目のディスクで・治療費を払う為の募金活動・福祉充実国家ノルウェーの驚くべき実態・あのチェゲバラの娘さんへのインタビューなどその他含めてこれまた80分もあり、本編ほどではないですが、こちらも結構面白いです。 しかしアメリカばっかり見ている日本もそのうち国民皆保険制度が名ばかりに(被保険者7割、家族8割負担とか)なるような気がしてなりません。年金も含めて・・
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5つ星のうち 5.0
本編は序の口、特典ディスクが必見です。, 2008/9/22
レビュー対象商品: シッコ [DVD] (DVD)
この作品は特典ディスクを見ずして終われません。disc2を見れば、本編が映画として公開することを十分に考慮した映像作品に仕上げてある事がよく分かります。本編も衝撃ですが、2枚目はより充実した内容で、こちらのほうが真のドキュメンタリーに近いといえるでしょう。 ちょっとでも関心を持った方には、本当にこの2枚目の特典ディスクを見て頂きたいと願います。 このシッコという映画でマイケル・ムーア監督は医療をテーマとしていますが、全体として、医療を切り口にして世界が抱えている社会問題・社会システム全体を問うているように感じられます。 特典ディスクの内容としては、映画のその後のマイケル・ムーア監督やその出演者・賛同する政治家たちの活動や、プレミア前日の貧民街でのほんとの初公開での映像、未公開映像、著名人へのインタビューがあります。 特にノルウェー取材の映像は衝撃的です。これは衝撃的過ぎて映画には組み込めなかったというムーア監督の言葉がよく分かります。アメリカ人(どころか現代に生きる日本人)の感覚ではとても受け入れがたい事実がそこにはあります。きっと問題点もあるでしょうし、映像はその部分をついてはいませんが、本編でクローズアップしたカナダ・英国・フランス・キューバも及ばない、そこは理想を持った人々が暮らす理想の国のようでした。 マーシャ・エンジェル、エリザベス・ウォーレンはアメリカの医療問題が抱える本質を具体例を挙げながら赤裸々に解説しています。ヒラリーが国民皆保険の実現に失敗したのは、話し合いの余地がないのに保険会社を温存しようとしたからだと。また、調査したデータから見れば、医療で破産した人々は決して一部の貧しい人々ではなく、ごく普通のアメリカでの一般家庭で、保険にも加入していた。これは予測できたことなのだと。 アレイダ・ゲバラ(キューバの革命家チェ・ゲバラの娘)、トニー・ベン(イギリスの元国会議員ン)は全ての人に聞かせたい素晴らしい話をしてくれます。もはや医療問題に限らず、世界において大切な事を(アメリカのグローバリズムではなく、本当の意味でのグローバルな視点で)語ってくれます。彼らはアメリカ批判はしません。しかし、多くの歴史・事実に学ぶとすれば、行き過ぎた個人主義が必然的にアメリカの破綻をもたらし、社会主義的システムが、アメリカが何十年も説き続けてきたような悪ではないのだと教えてくれます。 アレイダ・ゲバラは言います。社会主義国ではありとあらゆる自由は与えられていない。しかし、それは不幸なことではないし、自由という定義そのものが人それぞれであると。自由に自己主張するのは構わないが、そうしたら今度は人の話も聞かなくちゃと。人は生まれたときから皆平等なのだと。 また、父の教えとして、人は理想を追い求めときに何かを犠牲にして闘わなければならないと話す。真実を知り、間違いに気付くだけでは不十分である。行動しなくてはいけないと。 トニー・ベンは言います。民主主義は社会主義などに比べて遥かに先進的な思想なのだと。しかし社会主義を悪にしたのは、スターリンである。マルクスはもっと柔軟だった。革命でソ連が成立したが、ベネズエラのチャベスのようにすれば良かった。体制が恐れているのは革命である。だから常に体制は国民から希望を奪い、恐れを与え、行動を起こす勇気を起こさせないように操作する。その方が統治しやすいからだ。もし貧しい人々が、自分たちの代弁者に投票し、皆で行動を起こせば、真の民主主義革命が起こるのだと。 これはまさに今のアメリカを、少し先の日本の本質を突いた言葉ではないでしょうか。 医療の問題だけなく、物事の本質をついた映像作品です。一人でも多くの方に見て、考えて、行動して頂けることを願います。
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