マタニティーブルーという言葉を耳にしたことがある。しかし、それはすぐに回復するものだと、いわゆる鬱病とは異なるものだと、思い込んでいた。
ところが、もともと心に何らかの理由で脆弱さを抱えた女性が、お産を機会に鬱病を発症すると治らないまま悪化させ、そのことが子育てに甚大な影響を及ぼし、子供までが鬱状態に陥る可能性が高い、という深刻な問題を本書は明らかにしている。
このことは、社会が本格的に母親を支援しないと、とんでもないことになる(もうなっている)ということだろう。なぜなら、世代間に連鎖していくという背景があるため、子供たちの非行やひきこもりといった「社会」問題を、個人の性格の問題として片付けることはできないからだ。
逃げ場のない核家族という状況を、なにかしら共同体の中に位置づけていく工夫を真剣に考えなければならない時に来ている、と痛切に感じた。
本書の洞察は、著者が一番書きたかったことなのではないだろうか。