この映画を最初に見た時はまったく予備知識がなかったため、始めはひねた子供と精神科医の心の交流を描く『グッド・ウィル・ハンティング』系の映画かと思い、次にかなり怖いホラーだと思い、エンド・クレジットが流れる頃にはジャンルを超えた傑作だと確信していた。
この映画が描くのは「癒し」である。スーパーナチュラルな力を持った少年が死者を癒し、精神科医マルコムによって少年が癒され、そして最大のポイントはラストで待ち受けるマルコム自身への癒しである。驚愕のサプライズ・エンディングはすべての観客を茫然自失状態に叩き込むが、この映画の凄いところはそれが単なるびっくり箱ではなく、映画全体のテーマを更に深化させているところだ。癒す者が実はもっとも癒される者であったという感動的な逆説。その瞬間それまで観てきた物語は大きく揺らいで位相を変え、哀しくも美しい真実の姿を現す。
この監督は映像にも独特のタッチを持っていて、全体に漂うひんやりした薄曇りの感触も心地よい。テーブルに残った白い息のあとがゆっくり消えていくような細部にも、センスの良さを感じる。ブルース・ウィリスが適役だったかどうかは難しいところだが、これはこれでよかったと思う。それにしても人を殴らないブルース・ウィリスを初めて見た。
ナイト監督のその後の映画はどうも冴えないが、この映画はまぎれもない傑作だ。もしホラーだと思って敬遠している人がいたらあまりに勿体ない。是非観て下さい。