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シスマの危機 小説フランス革命 6 (小説フランス革命) (集英社文庫)
 
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シスマの危機 小説フランス革命 6 (小説フランス革命) (集英社文庫) [文庫]

佐藤 賢一
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容説明

ミラボー死す。革命は最大の危機を迎える
タレイランが推進する聖職者民事基本法は難航を極め、ついにシスマ(教会大分裂)の危機に。一方、王家に味方するミラボーは、志半ばで病に倒れる。死の床で彼が残した言葉とは。(解説/吉野 仁)


内容(「BOOK」データベースより)

聖職者民事基本法をめぐり、賛成派と反対派が激しく対立。フランスはシスマ(教会大分裂)の危機に直面し、推進者のタレイランは窮地に追い込まれていた。そんな中、ジャコバン・クラブ代表、国民議会議長と次々に就任し、政界を登りつめつつあったミラボーが、志半ばにして病に倒れる。一度は決別したロベスピエールに、ミラボーが遺した最期の言葉とは―。巨星、墜つ。喪失の第6巻。

登録情報

  • 文庫: 264ページ
  • 出版社: 集英社 (2012/2/17)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4087467929
  • ISBN-13: 978-4087467925
  • 発売日: 2012/2/17
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 9,453位 (本のベストセラーを見る)
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By ともぱぱ 殿堂入りレビュアー トップ50レビュアー VINE™ メンバー
Amazonが確認した購入
シスマとは、教会大分裂を意味する。具体的には、教会改革を定めた、憲法と一体をなす聖職者民事基本法に対する宣誓を聖職者に求める法律を議会が可決・王が批准し、いよいよ宣誓を求める段階で、宣誓を拒否する聖職者が続出。拒否したら職を解かれるのだが、信仰深い信者から支持される宣誓拒否聖職者は居座り続け、議会は宣誓した聖職者をその教区に送り込む。ここに2種類の聖職者、つまり宣誓聖職者と宣誓拒否聖職者が存在する混乱に突入。タレイランはミラボーに頼ろうとするのだが、ミラボーは助力を最小限にとどめ、タレイランは窮地に追い込まれる。ミラボーは何を構想していたか?という巻。

本巻後半は病が悪化するミラボーの最後の公私両面での奮闘ぶりが中心。病床での、親友タレイラン、そして革命を託すに足りると見込むロベスピエールとの会話が圧巻。各人との共闘を振り返り、自分の胸に秘めていた革命の着地点を明かす。これは現実には起こらなかったことなのだが、ミラボーの凄腕をもってすればこういうこともあり得たかも、と思わせるぐらいに、本巻までフランス革命は彼を中心に展開していた。抜群の洞察力、バランス感覚、雄弁、交渉能力、そして汚れ仕事も厭わない行動力。強いリーダーの早すぎる退場が惜しまれる。

理想を求めすぎるロベスピエールに対し、ミラボーは「ほどよい政治」の大切さを説くのだが、その忠告は活かされるのか? また国王側近としてフェルゼンが登場。

本巻はフランス革命の一つの区切りであるとともに、以後の展開を予告する重要な巻だ。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By INAVI トップ1000レビュアー
ついにミラボーが死を迎える。

そして、本書の1〜6巻、実際のフランス革命でいう最初の3年を引っ張った獅子の存在は、実際圧巻なのだが、第6巻では「小説」として、格段のクライマックスを用意する。何故ここでクライマックス?だって、ミラボーはロベスピエールが独裁者になる場にも、ここまで登場した多くの誰彼が断頭台に送られる場にもいないからだ。言葉なくパンテオンに祀られてるからだ。

ミラボーの大きさは、ここまで悪友的に対等っぽく描かれてきたたタレイランをダシにした策謀を死の床で彼に告げるところで一つ極まる。あのオレ様ゲイカが言葉を失くし限りなく下手になるまでに追いつめるミラボーの凄まじさは秀逸である。

しかし、それすら前段でしかないことを読者は知るのが、ロベスピエールとの最後の会話である。当たり前だが、ミラボーとロベスピエールが本書のような関係であったことは全てが史実ではない。むしろ、フランス革命の第1幕と第2幕の主役同志は、多くの言葉を交わすことはなかったのではないだろうか。
そして、その第2幕では、主役ロベスピエールと正面から相対する者がどう登場するのか不明だが、誰もが「ミラボーが生きていれば」と思う場面が幾度もあることだろう。
だからこそ、作者は、敢えてifを重ね、革命、国家、国民等の政治の根幹をミラボーとロベスピエールに語らせる。ミラボーの眼には、ロベスピエールはどう映っていたのだろう?そう思わずにはいられない。

非常に俗な表現で申し訳ないが、「我が生涯の一片の悔いなし」とは決して思わない、むしろその正反対の思いの中で死を迎えたミラボーだが、最後にロベスピエールとかわした言葉と姿には、どうしてもラオウ昇天が重なってしまった。
圧倒的な強さを後に残す者に託す姿がそこにはあった。
そして、いまだ非力ながらその思いを確かに引き継いだ者の成長が、第6巻最後のロベスピエールの言葉にはあった。
このレビューは参考になりましたか?
By 2-much
ジャコバン・クラブ代表と国民議会議長を務め、今度こそ盤石の政権を打ち立てる寸前まで来たミラボーは志半ばにして病に倒れる。

死の床でミラボーはロベスピエールに語る。

「ほどがよいのだよ、私の政治は」
「私の念頭にあったのは、独裁政治の危惧だけではなかった」
「クー・デタさ」
「もちろん、私自身は大臣にもなるつもりだった」
「それが自分の欲であることに、変わりはないな」
「しかし、それは半分の私にすぎない。もう半分の私はフランスが恐怖の警察国家に落ちることを、そのとき本気で憂えていた」
「己が欲を持ち、持つことを自覚して恥じるからこそ、他人にも寛容になれるのだ」
「醜い怪物だからこそ、よくわかるのだ」

退場する者だけに許された特権で、ミラボーはこの先の歴史を予言する。
世のため人のために尽くすことを本分とし己の欲を持たぬ者は、むしろ世の猛毒となりうる。
彼は理想を実現するため独裁を布き、清廉な世界を求める善意に基づいて同胞と己を断頭台に送るのだ。

この巻には、ミラボーに対する著者の意見が集約されている。
特にロベスピエールの独白を借りることで、この小説の最初の主人公であるミラボーをどう描きたかったのか、著者の想いが語られる。

「無限の優しさこそが半面の真実だった」
「つまるところ、あの男は人間が好きだったのだ」
「痛みを理解するあまり、弱いものを放っておけなかったのだ」

清濁併せ呑んで己の正義を追った革命の獅子が去り、混迷は深まる。

残念ながらミラボーは「最後の英雄」にはならなかった。
ミラボーの真髄を理解するに至ったロベスピエールはなお己の道を選び、
タレイランの「そのときこそ試してみるよ」という言葉は後にナポレオンを得て実現する。

一人の傑物が逝くとも革命はなお終わらず。

次に舞台を掻き回すのは他ならぬ国王ルイ16世であるのだが、
そのヴァレンヌ事件については次巻にて。
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