シスマとは、教会大分裂を意味する。具体的には、教会改革を定めた、憲法と一体をなす聖職者民事基本法に対する宣誓を聖職者に求める法律を議会が可決・王が批准し、いよいよ宣誓を求める段階で、宣誓を拒否する聖職者が続出。拒否したら職を解かれるのだが、信仰深い信者から支持される宣誓拒否聖職者は居座り続け、議会は宣誓した聖職者をその教区に送り込む。ここに2種類の聖職者、つまり宣誓聖職者と宣誓拒否聖職者が存在する混乱に突入。タレイランはミラボーに頼ろうとするのだが、ミラボーは助力を最小限にとどめ、タレイランは窮地に追い込まれる。ミラボーは何を構想していたか?という巻。
本巻後半は病が悪化するミラボーの最後の公私両面での奮闘ぶりが中心。病床での、親友タレイラン、そして革命を託すに足りると見込むロベスピエールとの会話が圧巻。各人との共闘を振り返り、自分の胸に秘めていた革命の着地点を明かす。これは現実には起こらなかったことなのだが、ミラボーの凄腕をもってすればこういうこともあり得たかも、と思わせるぐらいに、本巻までフランス革命は彼を中心に展開していた。抜群の洞察力、バランス感覚、雄弁、交渉能力、そして汚れ仕事も厭わない行動力。強いリーダーの早すぎる退場が惜しまれる。
理想を求めすぎるロベスピエールに対し、ミラボーは「ほどよい政治」の大切さを説くのだが、その忠告は活かされるのか? また国王側近としてフェルゼンが登場。
本巻はフランス革命の一つの区切りであるとともに、以後の展開を予告する重要な巻だ。