本書は、2002年4月に起こったみずほフィナンシャルグループの情報システム障害の原因や経緯を、「日経コンピュータ」が徹底取材し、緊急出版したものである。200ページに満たないボリュームであるが、統合のための情報システム開発のスケジュールや手順、問題点などをできる限り詳細に紹介している。「ことわり」があるとはいえ、推測の域を出ない内容もあるが、新聞や雑誌の表面的な報道に比べ、より開発サイドの事情に踏み込んだ内容となっている。
今回の開発の裏では、3行と既存システムの担当メーカーなど、さまざまな利害関係者の思惑が入り乱れていたが、本書ではそれがどのような悪影響をもたらしたのかをつぶさに論じていく。リーダーシップの不在、現場任せの姿勢、不十分なテストなど、さまざまな問題点が浮き彫りにされている。
後半では、みずほ以外の銀行のシステム統合事例を紹介しており、さまざまな視点からシステム統合のポイントを探れるようになっている。経営トップが積極的にプロジェクトにかかわることで成功を収めた北洋銀行、わずか10か月で統合を成功させた東京三菱銀行、大成功目前でトラブルに遭遇したUFJ銀行などの例が、統合スケジュールやシステムの概要にまで突っ込んで掲載されている。
最後には「『動かないコンピュータ』撲滅のための10カ条」としてシステム統合の際のポイントが掲げられている。これらはシステム統合に限らず、プロジェクトマネジメント全般に通じる原則といえるだろう。(土井英司)
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5つ星のうち 4.0
迫真のビジネス書-日本の経営者のために-,
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レビュー対象商品: システム障害はなぜ起きたか~みずほの教訓 (単行本)
「日経コンピュータ」と言えば情報システム技術者で知らない者はいない。特に「動かないコンピュータ」という連載コラムはいろいろな会社の失敗した 情報システム開発を実名で取り上げ、センセーショナルな内容で有名である。 その日経コンピュータが2002年最大の「動かないコンピュータ」(と信じたい)みずほ銀行の情報システム障害を一冊の本にした。しかも読者は情報技術者ではなく、経営者を対象としているという。 ないかとも思わせるつくりである。 その内容は手に汗握るものであり、みずほとは関係のない者でも冷や汗をかくのはまちがいない。あなたが情報システム技術者ならばキャリアの中での最悪だった仕事を思い出すだろう。それをさらにひどくした状況がこの本の中で繰り広げられる。経営者でなければできないこと、経営者にしてもらいたくてもしてもらえなかったこと、それらがまとめてさらけ出されるのだ。この点「動かないコンピュータ」に出てくる記事と方針・論調はまったく変わらない。 経営者と情報システムというのはこの5年くらいで大きく接し方が変わった。CIOという言葉にしても5年前は何人の経営者が知っていただろう。ましてCIOはどう振舞えばよいのかを知っている・見たことがある経営者が今何人いるだろう。 この本ではうまく行かなかった例(みずほ銀行)とうまく行った例(第二部で取り上げられる北洋銀行と東京三菱銀行)を対比させることで、経営者と みずほ銀行、北洋銀行、東京三菱銀行の事例を読むだけなら2時間作り出せばできるはずだ。サスペンス映画を1本見るのならこちらの方が安くてためになる。謎の女は出てこないが、プロフェッショナルな仕事とはどうあるべきかについて示唆をもらえる良質なドキュメンタリである。ビジネス書として読んでもらいたい。
20 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
むしろ成功事例が参考になる,
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レビュー対象商品: システム障害はなぜ起きたか~みずほの教訓 (単行本)
本書ではむしろ東京三菱銀行や北洋銀行など、成功事例が参考になる。みずほはやるべきことを「分かっているのに やらなかった」だけだが、なぜ「やらなかった」のかと言 えば、「やるべきことをやる」のが実に大変だからだ。 その「やるべきこと」、つまり経営陣がシステム構築プロ か、それは本書では失敗事例の分析ではなく、成功事例の その意味で本書が説得力を持っているのは、成功事例をコ
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
悲劇!,
By カスタマー
レビュー対象商品: システム障害はなぜ起きたか~みずほの教訓 (単行本)
コンピュータ制御を活用した巨大システムは、日常生活に必須なものとなっています。ハードウェア、ソフトウェア、そしてヒューマンウェアの組合せでシステムの安全稼動が保たれています。航空機、原子力施設、プラントや工場などではこの3ウェアのどれかが壊れると事故になり多くは死亡事故という悲劇の結末を迎えることになります。みずほの「システム障害」の後前田社長の国会委員会での発言、「実害は無かった」は象徴的な発言でした。確かに、銀行のオンラインシステムでの障害で、航空機事故のような直接の悲劇は起こりません。しかし、「システム障害」で起こったことは巨大システムの運用責任者として「悲劇」に対する責任は同等のものです。 第一部では、巨大銀行合併発表から「悲劇」が発生するまでの、システム開発での混迷を詳細に記述している。システム開発での技術ばかりでは無く、3行と関連のある、日本を代表するコンピューターメーカー、そして巨大システムを開発している3行出資のシステム開発会社などの関わりあいの人間的な混迷にも深く触れている。「現場は不眠不休で頑張った」と著者は同情を表明している。さらに突っ込めば、日本的な意思決定メカニズに切り込んでいくことでしょう。 第二部では、北洋銀行の拓銀システムへの統合、東京三菱の東京銀行システムとの融合、UFJの全く新しいシステム構築などの「失敗・成功」例の教訓に言及している。ここで出てくるシステム開発を推進した人々の個人名は強烈なリーダーシップを感じさせ、第一部でほとんど個人名の出てこないシステム開発と対照を見せている。 第三部では「日経コンピュータ」が訴えつづけてきた「動かないコンピュータ」への対処方法が記述されている。 「悲劇」が起こるまでの経緯、「失敗・成功の事例」、そして「悲劇を起こさないための10カ条」を緊急にまとめた本書は、あまり技術的でない経営トップの入門書として最適な一冊であろう。
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