システム開発の観点では、アジャイルに触れてないしシステム構築の技術的な話も皆無である。それをもって本書の価値を考えるのは、的外れである。プロジェクト管理、しかもチーム形成とかチーム一体感の維持などにページが割かれており、その視点では非常に参考になる。
また、銀行頭取や会長による関与の記述やシステム構築を行った開発会社の取り組みとか創意工夫についても書かれている。開発会社のそれは、結構ざっくばらんな記述もあって面白いし参考になった。
銀行システム開発やそのテストに関して、素人考えでの概算見積もりなどをやってみるのは、良い訓練になるかも知れない。あるいは、こんなテストをすべきとか、銀行内の調整とか関係会社の管理やモチベーション維持で必要と思うことと、実際Day2プロジェクトで行ったことを対比的に考えてみるのは良い訓練になる。
一度算出した要員数を大幅に超える見積もりが発生した場合の対応も、参考になる。外部の委託先人数は、倍近くに増えることになる。それを責任者に言うか、言っても「元の数字でやれ」とか「何故だ〜」とか言われかねない。また、上がその人数確保に奔走してくれるか、、、、。
グループの責任者を明確にしたり、ゴール設定なども明確に行われている。進捗管理なども具体的な事が書かれており、「そこまでやるかな〜」と思えるほど細部にわたっている。また、開発ばかりではなく、移行テストのための工夫などにも触れている。
士気向上のための施策が、結構面白い。はちまきを巻いた結束式兼出陣式の写真などがある。スクリーンセーバーやボールペンなども作成したとのこと。ちなみに、大漁旗の”統合丸”も記載されている。
海外のプロジェクト管理手法の勉強も必要であろうが、これら日本的なプロジェクト遂行も参考にすべきだろう。銀行システム以外の、様々なプロジェクトでも参考になる部分が多い。本書が、日本のプロジェクト遂行能力の向上にも役立つと考えたい。