今度は、北野氏だけでな他の執筆群を加えての刊行であり、新規性が無いかと楽しみにしていたが、またもやロバストネスと幼稚な数理モデルのオンパレード。ロバストネスという概念自体は決して、それほど悪いものではないが、それであらゆる生命現象を強引に説明しようとする所に、北野氏の進歩を感じられなかった。また、他の執筆者の数理モデルも簡略化しすぎてお話にならない。様は、こういう事である。「生命現象とは本質的にロバストネス(しなやかな強靭さ)を内包している。従って、多様な環境にも適応できる。今はまだ、コンピューターの出力が未熟なので、たった3つのタンパク質の相互作用を微分方程式化する事は出来ないが、将来は、たかだか4万個程度の遺伝子産物の挙動は、微分方程式化する事が出来る。」いかがかな、生命とはそんな単純なものだろうか?北野氏の成長ぶりの痕跡は、生物学の知識の増加以外には何も認めなかった。彼の功績とは、システムバイオロジー(systems biology)とロバストネスという単語の伝道者、として以外の意義は残念ながら認められない。生命現象の本質を著者は理解していない、と断言できる。やはり、この本も得る所は何もなかった。これが、分子生物学、生物学の現場を知らない著者の限界だろう。優れた分子生物学者は、20年以上前から、知っていた事であって、それを表現する単語が見当たらなかっただけである。