あまり期待しませんでしたが、みてビックリの作品でした。このドキュメンタリーを思わせるリアルな迫力はなかなか今時の映画人ではなかなか表現できないのではないでしょうか。
監督は「予告された殺人の記録」(1987)のフランチェスコ・ロージ、1922年生まれといいますから、30代後半のパワフルな時代の作品なのでしょう。白黒の映像がシシリー島の風景をよくとらえており、登場する俳優さんも「演技」ではなく本当に事件に関係していそうな迫力をもっています。とくに、捕えられた男(夫・倅など)を取り戻そうと黒装束の女たちの大群衆が異様な叫び声を上げながら兵隊に襲いかかるシーンなどはドキュメンタリー作品以上の迫力でした。この撮影は「夜」「太陽の誘惑」「魂のジュリエッタ」など数々のイタリア映画の名作にかかわったジャンニ・ディ・ヴェナンツォです。
当時ヨーロッパ各地の映画祭で監督賞、白黒撮影賞、音楽賞をもらった作品だそうですが、初めて知ったことも多い映画でした。シシリー島がイタリアからの独立を目指していたなんて全然そういう史実を知りませんでしたし、やっぱりイタリア映画だなと思ったのは登場する男のファッションでした。着こなしが違うんです。オヤジもチンピラも若者も似合う服装で登場するんです、背広、帽子、小物全てがなぜかかっこいいのです。舞台はミラノやフィレンツェじゃなく、田舎のシシリー島ですよ…。そういう面からもたいへん勉強になる映画でした。