正直言って、この作品の第一話を見た限りでは強い落胆を覚えました。
原作漫画の最大の魅力のひとつである、山口節のナレーションを極力カットしてしまい、
なおかつシーンも端折った駆け足の展開。
ナレーションは熱さが無く淡々としており、ラフと清書の中間の状態にある
わざと崩した線による山口絵から立ち登る、瘴気のような異様な空気感が感じられない小綺麗なデジタル作画。
本質の面白さを見失い、上辺だけを描写した軽薄な、そこら中に吐いて捨てるほどある
駄アニメの一つに過ぎないと思いました。
しかし2話以降を見る限り、その印象は一変します。
原作とは意図的に異なって作られた効果的な構成、
陰翳が強く彩度を低く抑えた(あるいは、敢えて強調させた)独特の色彩設定、
美しい構図、流れるような動き、和のテイストを盛り込んだ凄艶な音楽、背景に漂う季節感、
引き込まれるような素晴らしい演出。原作小説のエピソードも盛り込んだ脚本。
一度見始めると磁力を持っているかのように目を離せず、最後まで見てしまうと
今度は次回が齲歯のようにどうしても気になって仕方なくなります。
R-15という事で間口は限られますが、間違いなくなく今期最高のアニメだと思います。
原作小説ファンの方も、原作漫画ファンの方も、購入して損は無い逸品です。