虎眼と伊良子の激突も序章に過ぎなかったのだと、いやというほど思い知らされる本巻。
そして虎眼は死せず―忠弟の血に、肉に、骨に、魂に、そして剣に宿り復讐の牙を剥きます。
勝負とは、時の運や状況にも左右される。
龍を追い詰めるも、背後の家老を慮り咆吼のみにとどめる虎。
勝負とは、一対一の戦いというわけではなく周囲の意志をも味方につける。
見えぬ目で己を凝視する龍に戸惑う虎、女の目を通じて敵を見据える龍。
物語の中の生者が、死者が、激突する龍虎を見守り、声なき声をあげます。
その声の中に読者は虎眼の叫びもしかとあることを知ることになるでしょう。
ここまでたまりに溜まった怨念が意地が炸裂するこの決闘。
読み終えたあと疲労感を覚えるほどの緊張感。
他の作品ではたどり着けぬであろう境地に、本作は到達せんとしています。
一体この作品は、数多の屍を踏みしめつつどこまで登り詰める気なのか?
目眩すら感じさせる一冊です。