虎眼という巨星が墜ちた六巻に続いてのこの七巻。
過剰な暴力は今まで通りですが、回想場面が多く今までとはやや違った赴きがあります。
藤木源之助という男の「実直」がどのように培われ、そしてそれを伊良子清玄がどう曲解してしまったか。いわば悲劇の根本が明らかになります。
意外にも、この対峙する青年二人の憎悪は描かれてきませんでした。伊良子の憎悪は虎眼流全体に向かっていたとも思えました。
伊良子自身も忘れていた「棘」の正体、そして悪鬼の如き伊良子も赤誠にほだされかけていた頃があったという過去。
もしかしたら藤木と伊良子は肩を並べたまま歩めたかもしれない。そしてそうであれば死なずにすんでいた者も多かったことでしょう。
まさしくたったひとつのズレが悲劇につながる「武士道」です。
虎眼という巨星を失い、いよいよ始まる双龍の対決。
真意の伺えぬ三重を間に挟み、静かな緊張感が漂っています。
六巻の「動」の恐怖に対して「静」の緊張感が漂う七巻。今後も目が離せません。