ロブ・マーシャルの「シカゴ」は、「ムーランルージュ」と並んでここ10年のハリウッドが生んだ傑作ミュージカルにして個人的に大好きな映画だ。
その反公序良俗的な展開に50年代の古き良きミュージカルのような明るさがないとの批判もあったと記憶するが、エレガントでリリカルよりもノワールでピカレスクな雰囲気も今日風でまた良いのだ。
もちろんDVDも所有しているが、これ自体がかなりの高画質と高音質。だから当然BDにも期待大で迷わず購入、いざ久しぶりの再会に心ときめかせてながらの対峙となったのだが、正直もっと良くてもいいんじゃないかと思った。
で、イメージだけでは駄目なので、実際両者を比較してみた。確かに解像度は数段クリアになっているが、その分BDは暖かみが欠ける印象。映画の設定が30年代恐慌時の暗黒時代だけに、陰鬱なフォーカスがかった色調はむしろDVDの方がムードに溢れていると思えた。ただ、ライティングの彩光の鮮やかさには目をみはる。登場人物たちの虚々実々な駆け引きと心象をケレン味たっぷりに人工的に描いた演出ぶりを引き立たせる素晴らしさだ。
で、最も期待外れだったのは音響面。大きな魅力である14曲のミュージカル・ナンバーを大音響で聴き込みたいと思っていたのに、さして既存DVDと差異を感じさせない。期待十分だっただけに、フラストレーションを感じた。