まずなにをとっても、主人公のメアリ・アリスの落ち着いた筆致が好ましい。せりふでは「おばあちゃん」、地の文では「祖母」。こんなにわきまえた翻訳をしてくれた訳者にまず感謝。そしておばあちゃんとメアリの、したたかさ、思いやりときたら、どうだろう。「おばあちゃん」は私たち読者とメアリに、言葉ではなく実践で教えてくれます。「本当の優しさととか思いやりって、行動することなんだよ。ナニナニしてやりたい~と思うだけならだれでもできるけど、大切なのはそれを、手段はどうであっても。実現すること。そうしてこそ思いやりなんだ」と。それはどうしても必要なものを手に入れるためのお金を稼ぐ、ある『残酷な仕事』を通じて読者に語られます。生きていくのに何かと世知辛い昨今、とても心に響きます。こどもも中年も、シルバーも、読んでみて!