空が暗黒から地上をシェルターとして守っているとしたら・・・その暗黒を覗いてしまった人間はどうなると思いますか。それがわかる絶好の場所がサハラ砂漠だったら。暗黒を見つけてしまった男女は悲劇の結末を迎えることに、いや、悲劇ではないかもしれません。
ベルトルッチもこの小説を映画化することはやはり無理だったと言わざるを得ません。映画の印象と本書を読んだ印象はまったく違いました。ここまで深い話だったとは。
その暗黒は二人のアメリカ人の男女にとっては北アフリカのアラブ人たちだったとは。その砂漠の生活の描写はあまりに神秘的である意味ですごくリアルで人間の心理の深層を明らかにするものです。
アメリカが今イスラムの中東と格闘している現代にまったく違和感なくあてはまるこの暗喩。さすが、ボウルズ。珠玉の一品でした。