これほどまでに、最後の一文が、
(一見たんたんとしていながらも!)引き締まり、
決定的で、類まれなく効果的・技巧的なものを私は他に知りません。
このあまりにも上手い物語のシメ方だけで、
コレットは私の読書歴の中で、燦然と輝く作家として心に銘記されています。
しかし末文に限りません。
この作品は疑いようもなく芸術作品としての気品を備えています。
個人的なことをあえて言うと、
作中の二人程の年齢差も、生活の規模(?)もありませんが、
私は学生時代、一回り以上年上の女性と同棲していた時期があり、
(まさにその時、初めてこの本を読んだので、)
あまりにも痛ましく、生々しく、恐る恐るページをめくった記憶があります。
私が戸惑い、むしろ反発したにも関わらず、
時折、母親的な愛情の示し方をせずにはいられなかった、
その女性の気持ち、女としての悲しみの所以がここにはある気がします。
それ故、私自身は終生、この書を再び読み返すことはあえてしないと思いますが、
本物の小説、強くも優雅で、ひきしまった本物の芸術を、多くの方におススメしたいと思います。