「シェリル〜キス・イン・ギャラクシー」。その感想を一言で言うと「少女漫画」と云うこの言葉に尽きます。
元々は「別フレ」と云う少女漫画雑誌に連載されていた作品で、正直一つの作品としての好みは分かれる部分が大きいかもしれません。マクロスの売りの一つである戦闘シーンは全くと言って良い程ありませんし、シェリルの設定やアルトを始めとするキャラクターの性格も、多少違和感を感じる部分は存在します。オリジナルキャラクターも多いですしね。
ですが、私はこの最終巻には☆5つを付けたいと思います。その理由は、この作品が「別フレ」と云う少女漫画雑誌に掲載され、シェリルを主人公にした「少女漫画」であると云う事。そしてその時点で期待され望まれていた部分を十二分に果たしたと考えているからです。
作品を購入する人間が、その作品に一体何を求めて購入しているのかと云う事と、果たして作品がその期待に応える事が出来たのかと云う事。読み終えた人間を「ああ良かった」と満足させられるか否か、と云う一点。その一点を考えた時に…この『シェリル〜キス・イン・ザ・ギャラクシー(3)』はその期待に十二分に応えていると思います。
この漫画は確かに戦闘やメカの描写に関しては不足している部分があります。勿論作者さんは、頑張ってくれているんですよ。少女漫画を描いて来た方がバジュラやバルキリー、戦闘シーンを描くのは本当に大変だったと思いますから。
ですが何よりも―――。この漫画の最終的な評価を高く付けたのは、この作品が多分「劇場版完結後にシェリルファンが観たかった物」をきちんと描いてくれていて、シェリルに幸せになって欲しいと願う気持ちを満足させてくれる様な一冊になっていたからです。
アルトがシェリルへ向ける想い。グレイスからシェリルへの愛情。ランカとシェリルの間に育まれた絆。そして…何よりも見たかったシェリル以外の皆も含めた完全無欠のハッピーエンド。そうした物をきちんと描いてくれていたから、私はこの本に☆5を付けました。ご都合主義でも展開がぬるくても良いんですよ。これは、そうした事を望まれた「少女漫画版・マクロスF」なんですから。
その本を購読する層が何を求めて何を欲しているのか―――。一つの作品から派生する出版物に求められるのは、結局はそれを満たせるか否かだと私は思っています。そうした点では今回の「シェリルが主役の少女漫画版マクロスF」は素晴らしかったと思います。色々な苦労の中で、こうして綺麗に作品を完結させてくれた作者・小山さんには心からの感謝を捧げたいですね。
と同時に、今回の3巻の評価を上げた一因には、巻末の井上喜久子さんのインタビューと河森監督×江端さん×漫画作者である小山さんの対談が非常に良かった事もあります。後はコミック背表紙のオルレアンシェリルの背中にあるシェリルマークが片翼ではなく両翼になっているのも興味深いですね。恋離飛翼と比翼連理……。アルトと結ばれたシェリルが背負うのなら、両翼を持ったマークが相応しいのかもしれません。シェリルのファンならば買って損は無い一冊だと思いますよ。