これほど内容の薄い元プロ野球選手の著書も珍しいのではないか。「私が出会った‥‥」とあるからには、木俣氏でなければ書けないような、木俣氏個人ならではの密度の濃い体験・経験を書いてほしかったのに、よその本だの記事だのからの孫引き引用がかなり目につき、どれもどこかで読んだことのあるような新味のない話に終始している。それなりに面白い箇所もあるが、「そこ、もっと掘り下げて」とか「そこを、もっと詳しく書いてよ」と言いたくなってしまうような、全体的に非常に薄口な本だった。
蛇足ながら、選手の成績を記述するにあたっての数字上のミスも目についた。野球選手にとって数字は大事な筈。内容の薄口さとあいまって、こういうことにも「手抜き本」という印象を持ってしまう。仮に著者の思い違いであっても、校閲者がきちんと校正すべきではないか。版元の中日新聞社は、近頃、頭のおかしな球団社長を据えて、勝てるチームよりもファンサービスなどという、わけのわからん主張をしているようだが、こんなおざなりな仕事を平気でしているようでは、ファンサービスもたかが知れている。
こんな本でも★3つとしたのは現役時代の木俣捕手が好きだったから。でなければ★1つでも不思議はない。