ストーンズとスコセッシ監督の組合せで予想できる水準の高さを下回らない素晴らしい作品だ。一番驚くのはミック・ジャガーの年齢を超越した「若さ」。半端じゃない運動量と衰えない声。スーパー・スターの地位を保つための普段の節制が透けて見えるが、70歳を過ぎても転がり続けること間違いなしだ。キース等はさすがに皺が深くなったが、その皺1本1本にストーンズの歴史が刻まれている。そのことを思い出させるのが所々に挿入される、ストーンズ若き日のインタビュー等の映像。クリントン一家がコンサートに来るぐらいの名士となったストーンズだが、昔はこういう時もありました、とスコセッシ監督自身が好きなストーンズの暴れん坊時代を追憶する狙いもあるのだろう。コンサートと関係ない映像の挿入はうるさくなく、ストーンズの歴史を浮き上がらせ、手法的には
ラスト・ワルツを思わせる。そのラスト・ワルツの撮影で監督は細かなカメラの位置・動きを指示していたのだから、本作も詳細な撮影プランがあったに違いない。そのためには当然セット・リストが必要なはずで、それが届かないとスタッフが焦る冒頭は巧みな演出だろう。実際、メーキングでは、メンバーと監督がなごやかに話し、演奏やクレーン・カメラの移動のリハーサルをしている。その他特典映像では映画本編から落ちた4曲の演奏や本編とは別アングルで観れる演奏映像が楽しめる。
インタビューで印象深いのが、ロンとどちらがギターがうまいかと聞かれて「2人とも下手だが一緒だと最強だ」という、さすが自分たちをわかってると頷くしかないキースの名回答と、「60歳になっても続ける?」の問いに対して「もちろん」と答えたミックの若き日の姿。その答えを裏切らなかったミック、そしてストーンズは本当に凄いバンドだ。