本映像は、ラスベガスにセリーヌ・ディオンの公演のために新設されたという「コロシアム」という演劇場でここ数年定期開催されているエルトンのステージ・プログラム「レッド・ピアノ」を収録したもの。これを体験するにはラスベガスまで行かねばならない(この仕様で日本公演が実現すればその限りではないが現時点では可能性は薄い)ので、日本のファンには嬉しいリリースだ。
その名の通り真っ赤なピアノ(実はグランドピアノに見せかけたエレクトリック・ピアノでいろいろな音が出るらしい)、娯楽の街にふさわしい街頭電飾を模した原色のケバゲバしいライティング、このプログラム用に作成されたバックドロップ映像、というこれまでのエルトンのステージングの中でも最も派手で煌びやかな舞台に、ナイジェル・オルソン、デイヴィー・ジョンストンらお馴染みのバックバンド、と申し分ない布陣がエルトンを支えている。
エルトンも、サーの称号を得、結構体格もでっぷり、声も高いところはもはや出ない、そりゃそうだ、もう還暦なんだから。しかし、昨今のエルトンの威厳溢れる落ち着いた印象よりも、このプログラムで久しぶりに横溢する、ある意味悪趣味ともいえるほどの派手さ、バカバカしさこそが、70年代に「たった一人のビートルズ」として世界を席巻していたころのエルトンの最大の魅力だったはず。ファンなら、その時代を思い出せる作品かもしれない。
セリーヌをネタにしたけっこう際どいジョーク、女性の胸のハリボテがむくむく出てくるギミックなど、アダルトな雰囲気も面白い。極上のエンタテイメント・ショーだ。