2001年に「Who is Jill Scott?」にて、粘っこくソウルフルな歌とクールなスポークン・ワードを自在に使い分ける独特の手法で、
シーンに颯爽と現れたJill Scott。ネオソウルブーム終焉後も我が道を往く様に、高品質の音楽とユーモアに富んだ心情表現か
らコンシャスな社会問題まで幅のある言葉を産み続ける才能は素晴らしい。
前作から4年、今回レーベル移籍に伴い従来の「Words and Sounds」シリーズと決別し単に「The Light of the Sun」と題された
4作目は、従来のJillのイメージを広げる新しい試みが見られる作品となっている。
従来のファンにはその試みに否定的な人もいる様で、本国では早くも賛否両論湧き上がっている本作。意見を読むと楽曲の質
よりプロダクションに争点が置かれている様だが、具体的にはラッパー陣の大胆な起用とよりヒップホップ寄りな音創りである。
過去にThe RootsやCommon等ラッパーの曲に彼女が呼ばれることはあったが、彼らは彼女と音楽的共通点も多い為違和感は
なかった。しかし、本作収録の「Shame」ではメインストリームで活動する女性ラッパーEveが参加、他にもDoug E.Fresh、Paul
Wall等、従来とは異なる人脈からラッパー達を計3曲で呼び込み、それに伴い音も刺激を増しビート感が強まった。
「Shame」ではサザン・ソウル仕立てのコーラス・Jillのボーカルと、野太いビート・Eveのラップとの組合せが予想以上に成功して
いるし、「All Cried Out」では、Doug E.Freshの奏でるヒューマン・ビートと古いスイング・ジャズ風のピアノ演奏が時代を超え出
会った妙な面白さがある。どちらもこれまでの彼女の音楽にはなかった新しい味わいだ。
彼女のファンの年齢層自体が高めであるため、この様な一見若返りした音創りは従来のフィリー・ソウル路線が好きな一部のフ
ァンから反発を招くのだろうが、自分は純粋に新しい彼女の形として楽しめたし、次作以降の展開に早くも期待が高まる。
従来路線の楽曲では、Anthony Hamiltonとムードある二重唱を奏でる先行シングル「So In Love」、前半と後半のリズムチェン
ジに伴い表現される女性の二面性が面白い「Le Boom Vent Suite」、流麗なストリングスを敷き女性の繊細な祈りが歌われる「H
ear My Call」等。比重としてはこちら側の方が高い為、全体としてはさほど大きく作風が変化した印象はない。
Jillの声・パーカッション・コーラスのみで構成されるシュールな「Quick」等相変わらず凝ったアレンジメントも楽しんで欲しい。
Jill第二章の始まりとも言える作品。上述したように賛否は分かれそうな創りだが、私的には変化を恐れない彼女を支持したい。