ジャズとは何かというビル・エヴァンスの音楽観を語り演奏したドキュメンタリー映像です。彼が37歳の時の映像で、モノクロでした。収録時間は40分という短いものですが、内容は深いと思いました。CDは物凄く多くのテイクが発売されているのに、演奏はともかく、彼の肉声を聴くことができる貴重な映像です。音楽教師だった兄のハリー・エヴァンスとジャズについて語る言葉は含蓄のあるもので深遠な趣に包まれています。即興演奏について、基礎の大切さを説いています。
「ジャズとは感性の生みだす創造的なプロセスだ」と言うコメントは彼の演奏スタイルを考える上でとても意味深いものでした。ジャズのスタイルを学ぶのではなく、自分で考えて音楽のスタイルを創ることを語る彼の言葉が印象に残りました。
自分の演奏スタイルを創り上げた自負が語りに表れていました。1966年の制作ですから、当時のエヴァンスの音楽の捉え方が伝わってきます。ジャズの演奏手法を説明する場面もあり、実際にジャズ・ピアノを演奏する人には参考になるでしょう。即興演奏というものの魅力を語り実演しているわけですから、エヴァンス・ファンにとって、彼のピアノが楽しめるDVDでしょう。
この映像はジャズ・ミュージックの教本として作成されたということをまず理解してほしいと思います。収録時間のかなりの部分はエヴァンス兄弟による音楽についての語りですから、それを事前に承知しておかないと不満が残ると思います。
“Star Eyes”を使用してのジャズ演奏の解明はとても魅力的で美しいものでした。
あと短い時間ですが、“Very Early” “Time Remembered” “My Bells”などの曲も弾いています。なお、ベニー・グッドマンの映画でベニーを演じていたスティーヴ・アレンが進行役を務めていました。