メイキングで中井貴一が「セットを見て、間違いなくいま一番裕福な組だなと思う」と言っていたが、確かに東宝スタジオにあれだけの街・守加護を作り(美術は種田陽平!)、豪華絢爛な俳優たちを集められる監督は少ない。自虐的なまでにメディア露出を続ける三谷監督は、自身を「もういいよ」と言われるまでさらけ出してでも映画を守る。こういう姿勢に俳優・スタッフたちも信頼を寄せるのだろう。三丁目の夕日のようなセットを作っているが、それも時代へのノスタルジーではなく、あくまで「三船/鶴田の暗黒街シリーズ」へのオマージュであり、いかに監督が映画好きであるかがわかる。だから市川崑監督も喜んで出演したのだろう。佐藤浩市や香川照之は、普段は重厚な演技で魅せる名優だが、香川が佐藤の芝居を見て「今まで積み上げてきたキャリアが、音を立てて崩れ落ちていく・・・」と笑い転げているのをメイキングで観ると、現場の雰囲気も非常に良さそうだ。三谷監督はスタジオ出身ではない。舞台からのキャリアを映画に転化させて、いまや日本最大の映画会社の一番大きなスタジオを借りきれる監督になった。前作まではどことなく芝居がかった場面も多かったが、今回は大満足の仕上がりであり、これからの邦画界のメインストリームに乗ったかな、と思う。誰にでもおススメしたい傑作です。ちなみにブルーレイの画質は圧倒的なので、プレイヤー所有の方には絶対BDバージョンを推します!