最初あらすじを見て、大好きな漫画「寄生獣」を思い出しました。
トワイライトがすごく面白かったのでこれも迷わず購入、一気読みしました。
まず異星人の女主人公視点で物語が進んでいくというのが目新しい。
そしてこのワンダ(ワンダラー・彷徨者)がとても崇高な魂(ソウル)の持ち主で、
宿主(ホスト)のメラニーとも不可思議な友情で結ばれます。
恋人のジャレド、弟のジェイミー、他の人間たちそれぞれのワンダに対する感情の動きも
無理なく丁寧に描かれていきます。こんな調子で三冊でおわるのかしらんと心配になるくらい。
でもそこはそれメイヤー女史、ドラマティックな展開であっという間に物語に引き込まれ、
気づくとすっかりワンダに感情移入。
ジャレドに対する決して報われない切ない恋心、ジェイミーへの凄絶なまでの無私の愛。
ワンダのいじらしさにはめちゃ泣けます。
異星人(ソウル)たちの作るTV番組がつまらないというのには笑えた。
彼らは基本的に善良・平和を愛する種族で、寄生によって宿主を幸せにしていると考えています。
宿主にとっては迷惑な話ですが、確かにソウルの医術は魔法のようで苦痛や病は彼らには無縁。
争いもなく無論戦争もなし。社会主義のような理想的で平板な社会を作ります。
以下ネタばれです。
ワンダは人間の醜さ・残酷さに恐怖し‘バケモノ’とまで呼びますが、
その反面の情愛の深さ・仲間同士の絆、はじめての愛を知り、
この地球を魂の故郷‘最終の死’を迎えるべきところと知るのです。
どうしたって悲劇にしかなり得ないのに、あの大団円に持って行くとは凄いの一語に尽きます。
愛あれば憎しみがあり、死あればこそ生が輝く、善と悪。すべては糾える縄のごとし。
その全てを抱く複雑な人間というもの。ワンダが魅せられ囚われたのは
実に宇宙でもまれな不思議な種族だったのですね。
「この星で人間になる。」
ワンダほどにはいかないけれど、バカで愛らしい人間が愛おしく思え、今を生きるわたしたちにも
苦しみや悲しみはあるけれど、それ以上の喜びがあるのだ。と信じられる気がします。
実に希望に満ちたラストです。満足のいく物語でした。
一読の価値は大いにあります。