ハーバード・ビジネススクール経済学部教授である著者は、いつの時代も保守的であるはずの消費者が、未知の商品・サービスを生活に受け入れていく過程に興味を抱いたという。
本書で定義する「ブランド」とは、裸一貫の起業家が、自らの自信と誇り、商品・サービスの優位性を消費者に知らしめるべく活用したマーケティングツールのこと。起業家の技術や経営革新に関する著書は多いが、ブランド戦略を軸に社会や消費者に向けられた行動に焦点を当てた研究は少ない。
激しく移ろいゆく時代を舞台に6人の起業家はいかに消費者と対峙し事業を展開したか。記録資料、関係者の証言などを基に、起業家たちの人間像までもが浮き彫りになる。そうした意味で、本書は産業小史でもあり、良質な伝記でもある。
(日経ビジネス 2001/12/10 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
登録情報
|
たとえば、スターバックスの項では、その大部分が「スターバック成功物語」(日経BP)とかぶっており、そのダイジェストに最新の後追い取材が加えられているという感が否めません。
つまり、取材をしたという深く突っ込んだ形跡が見られないのです。
その企業の資料を片っ端から集めて、時系列でつなぎなおし、時にその業界の時代背景を紹介し、ブランドに関わる部分だけをつなげて紹介したという感じで、表面をなでたという感じです。
たとえば、スターバックスに関しては、同社でブランド管理を担当していたスコット・ベドベリ氏が、そのブランド哲学について、「なぜみんなスターバックスに行きたがるのか?」(講談社)という書にまとめています。このように内部にいた人間がブランドを維持するために、どんな哲学を持って何をしてきたか。そしてブランドの危機に直面する事件が起きたとき、どんな考えでどう対処したかということを語っている方が、圧倒的にリアルに感じられます。
過去の資料を中心に構成するだけではなく、もっと当事者に取材をかけて、リアルな声が拾えていたら、もっともっと面白い本になっていたと思います。
以上、マーケティングに携わる仕事をしているモノからの感想でした。
内容としては、18世紀のウェッジウッド(陶磁器)、19世紀のヘンリー・ハインツ(加工食品)とマーシャル・フィールド(百貨店)、そして、20世紀のエスティ・ローダー(化粧品)、ハワード・シュルツ(スターバックス)、そしてマイケル・デル(デルコンピュータ)といった6人の起業家たちと彼らが起こした企業、ブランドを、歴史的に振り返りながら、変化する時代の中で、起業家がいかにチャンスをつかみ、つかんだチャンスを持続しようとしたかに着目している。彼ら6人に共通するのは、経済的、社会的変化が顧客のニーズ!にどんな意味をもつかを本能的にとらえ、常に顧客に目を向け、顧客に耳を傾けることで、彼らが期待する以上の商品、サービスを提供するブランドを築き上げ、それを維持する組織をつくりあげたことだ。時代背景が変わっても、成功する起業家は、需要サイドに目を向け、顧客との相互コミュニケーション、相互学習によって成功を勝ち得ている。
18世紀のウェッジウッドが、自社の製品を買ってもらいやすくするために、マーケティングな視点で、ターゲットセグメントを行ない、クチコミを誘発したり、それまで存在しなかったショールームをつくったりしたなどの話は非常に興味深かった。ずっと昔にドラッカーがマネジメントの概念を発見したことを今まで先見的だと感じていたが、実際の歴史の中では、それをマネジ!メント、マーケティングだとも意識することなく、実行していた起業家たちが存在していたのだ。このことは大いに驚きであると同時に、それを可能にした「顧客志向」のビジネスにおける可能性を再認識させてもらった本だ。文句なしにいい本です!
ビジネス書は、ともすれば理論偏重の「机上の空論」的内容、あるいは成功談、成功事例の紹介に終始してしまう内容の類書が多いと感じるが、この本はそれらと一線を画している。
同じフォーマットで、6つのブランドが確立していくプロセスを精緻に調査し、女性の丁寧な表現によって膨大な情報を与えてくれる。
読書の醍醐味とはこういう本を読むことなんだと改めて感じました。「良質」ということばがふさわしい書物です。読後のすがすがしさも忘れられません。
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|