まるで昨日録音されたかのようにクリアなジョンの「イン・マイ・ライフ」をバックに、つい最近録画されたかのように輪郭のはっきりしたデビューから解散までの映像が走馬燈のように流れるオープニング。それだけで胸がいっぱいになりそうだった。「イエロー・サブマリン」や「1」のリマスターにも感激したけど、「アンソロジー」のリマスターはそれらを上回る威力がある。
ボーナスディスクは、内容の貴重さは勿論、構成という点でも嬉しい存在だった。本編は、最初の方は「4人とも仲が良くて」とか「一つ一つ目標を達成していけて嬉しくて」とメンバーも楽しそうに回想しているし見ている方もワクワクするのだけれど、エプスタインの死後以降は解散に向かってまっしぐら、という感じで、インタビューに答えるメンバー・関係者から次第に笑顔が消え、諦めムードが漂い、口調も重く、見終わった後は疲労感と重苦しさが残ってしまう。そこでボーナスディスクを見ると、3人が青い空、緑の芝生を背景に仲良くカジュアルにセッションをしているところから始まるので、何か救われたような気分になれた。ボーナスディスクをあのシーンから始めたのは大正解だったと思う。
ビデオに比べて価格が遥かに安くなり、貴重な映像が追加されて構成も良くなったとはいえ、誰にでも勧められる内容ではない。ファン歴の長さに関わらず、「ビートルズがどのように音楽を作り上げていったのか」ということに興味の無ければ別に見なくてもいいと思う。私自身他にも好きなアーティストは色々居るけれど、このDVDで描かれているような詳しい内幕を知りたい、と思えるほど好きなのはビートルズ以外いない。
その他、構成・付録についての情報・感想は;
・本編は1枚当たり約2時間30分。チャプターは25前後。
・ボックスとメニュー画面のデザイン、BGMもいい感じ
・書き下ろしの日本語ライナー・ノーツは、基本的に内容紹介なので、あってもなくてもいい、という感じ。
・ローリング・ストーンズが「アイ・ウォナ・ビー・ユア・マン」を演奏しているカラー映像が数十秒だけど収められている(DISK 1)。ブライアン・ジョーンズがギターを演奏しているカラー映像は貴重なのでは?