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まずこの本の対象は米国のバードウォッチャー(正確にはバーダー,バードウォッチャーというとテニスシューズを履いた老婦人のイメージらしい)が繰り広げる名誉を賭けた年間バードカウント数(メキシコ国境より北のアメリカ・カナダの国土と海上320キロ以内限定)を競う競争,そしてその1998年の争いを繰り広げる3人の物語である.
何しろアメリカにはオーデュボン協会(日本でいうと日本野鳥の会)とは別にアメリカ探鳥協会というのがあって探鳥の種数をスポーツとして競うらしい.
そして一番盛り上がるのが年間の観察種数を争う競争(これをビッグイヤーと呼ぶ)らしいのだ.しかしその中身がとにかくすごい.何しろこの定められたアメリカカナダの領域で通常観察される鳥の種数は675種といわれているらしいが,この年の優勝者の種数は745種である.これはいわゆる希少種,迷鳥のたぐいを少なくとも70種も観察したということである.この数字だけでこれがどんなにすごいことかはバードウォッチング経験者にしかわからないかもしれないが,とにかくすごい.大体通常観察されるとされている鳥を大体カバーするのにどれだけ苦労することか.
やり方も半端ではない.まともなホテルも無いようなアッツ島でひたすら悪天候に耐えてユーラシアの希少種をカウントする.ヘリコプターで冬のロッキーに命がけでライチョウを見に行く.外洋航海ツアーで肝油を撒き散らして鳥をおびき寄せ,船尾で吐きながら「でた」という声に双眼鏡をつかんでは飛び出していく.当然費用もかかる.体力も必要.その1年間はかなりの事を犠牲にしないととても数はカウントできない.だから帯にあるような「バカか?偉業か?」ということなのだ.ノンフィクションとして3人の人間模様もよく書けている.
経験者には応えられない面白さである.目当ての鳥を春の渡りで逃すと蚊の大群のいる夏の繁殖地まで行かねばならないとか,とにかく希少種を稼ぐためには情報が入ったらどこまでも飛んでいくとか,うーんわかるわかる.読んでいるうちにアメリカに飛んでいって探鳥したくなる.
バードウォッチングの経験ある方には文句なしにお勧めです.
年間数万ドルも使い、全米を飛行機で飛び、時にはヘリコプターまでチャーターしてまで鳥を見るというのは、普通の人には理解できないだろう。日本にくれば簡単に見ることのできる極東の鳥を見るために、夏でも雪の降るアリューシャン列島のアッツ島に5週間も滞在する人が沢山いるのだ。外洋の鳥を見るために5,000ドルのツアーが行われている。
それもアメリカの図鑑に載っていない100種以上の鳥を含めて、一年間に745種の鳥を見るということが、とんでもないことだということも、普通の人には判らないだろう。ノーマルなバードウォッチャーは、20年も鳥を観てもこの半分くらいしか見ることはできないだろう。珍しい鳥は、情報がある場所に行ったとしても、確実に見ることの保障はない。さらに、20年前に一度しか記録がない珍しい鳥を見ることは、もう不可能に近いことだ。
もう一つ一般人に理解できないのは、記録された鳥の種数は自己申告によるということだろう。嘘をついても誰も判らない。でもバードウォッチャーは嘘をついても意味がないことを知っている。だって、バードウォッチングは自己満足の趣味だからだ。
翻訳者の朝倉和子さんは、バードウォッチャーなのかどうか非常に気になった。バードウォッチャーでないとすれば、なかなかの翻訳者だ。
竜巻みたいな求心力。
探鳥家たちの熱気にあてられて、自分も鳥を見に出かけてしまいそう。
翻訳がぎこちないのも、主題のおもしろさで充分カバーされています。
地図と鳥の画像がないのが残念。
航空地図と鳥の図鑑を手元に置いて読むことをおすすめします。
オーデュポンの見事な鳥の画像の、写真を模写したような立体感のなさ。
写真機のなかった時代なのに、と思ったら。
殺した鳥の体に針金を通し、樹の枝などに固定して、あの細密画を描いたそうです。
こんな裏話があちこちに。それを読むのもまた楽しい。
是非、映画化してほしい!
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