ニコラス・レイとジェイムズ・メイスン。期待大です。『夜の人々』、『孤独な場所で』、『危険な場所で』、『理由なき反抗』など、ニコラス・レイの作品は斬新な映像的試みが随所に散りばめてあって、それが作品全体を一種の美学をもってつなぎとめている趣向があるように思います。たしかに本編でも、主人公の教師が薬物によって狂気に走っていくさまがスリリングに描かれ、それが斬新な映像的試みによって強調されています。主人公の顔を映し出す割れた鏡、スパルタ教育の権化と化した父親の背後に伸びる巨大で陰鬱な影などがそれです。しかし、それらの効果が他のレイ作品とくらべても著しく散漫に配されている印象を受けます。つまり、それらはそれらで単独で効果のある趣向なのですが、作品全体の流れとなぜか一体となっていないような感じがします。すなわちこうした思い入れのあるシークエンス以外の部分がとても退屈に感じられるのです。もちろんすべてのレイ作品にはこうした傾向が少なからず見受けられるのですが、本編はその散漫さがもろに露呈してしまっているように思えます。が、メイソンは素晴らしいですし、スリリングな物語であることは否めません。若き日のウォルター・マッソーにも注目。