暗い。英国はBirmingham出身の4人組Editorsのデビューアルバム
“The Back Room”は、そのお国柄溢れる湿った、暗澹たる雰囲気を
リズミカルなギター・サウンドと、低くこもった生温かいボーカルに
乗せた、爆発しきれない苛立ちと苦みいっぱいの意図的不発弾ロックである。
メロディアスでシャープなギターが全体の基軸となり、サビを意識した
曲の流れにメロディー重視の展開という王道を踏まえつつ、一本調子に
ならぬよう強弱織り交ぜられた楽曲構成のセンスは高いが、曲順への
配慮が足りなかったのか、突出した曲と凡庸な曲の落差がはっきりと
出てしまっていて、せっかくのキラー・チューンの興奮が次の瞬間
でずっこけ、一気に白けてしまうという個人的感想は否めない。
とはいえ、曲単位で見てみると、シングル・カットされた“Munich”の
溌剌で独特なメロディー、“Blood”の静かなる情熱のほとばしりに
高音気持ちよく弾けるギター、“Bullet”はそれまでの陰の世界から
一転、伸びやかなボーカルと、無限に繰り返されるサビに徐々に
沸き起こる高揚は脳髄を貫き、軽快なリズムの
“Fingers In The Factories”では鬱屈したもやもやを吐き出すかの
ように切れの良いメロディーに切なげに泣くようにギターが絡まる。
リズム隊に目立った特徴が欠けるので、描写がどうしても音の
主であるギターと、個性的な声のみにとどまってしまうが、過去の
傑作の焼き直しと片付けるには早計である。彼ら独自の醒めた熱情と
いう魅力の生きた今後の音の膨らみに期待。