そう、脊柱を中心とした骨格の矯正によって実際にこれほど幅広い疾病・症状に対処できる。ただ、その個々に対する分析には長年の臨床経験を積んできた方には、完全に同意しかねる部分もあるかと思う。そうした部分も含めて、非常に参考になる。矯正だけでなく食事・サプリメント・日常生活の注意点・自分で行うエクササイズの指導・どこまで矯正してどこから自然の快復力に任せるのか・・・などなど。
テクニック面では、まずは乳頭突起コンタクトで矯正して回転を捕り除き、その後刺突起コンタクトで後方変異とクサビを取り除くなどの記載は臨床現場の実践的な事柄である。
また通常側臥位腰椎矯正では乳頭突起側を上にするが(プッシュムーブ)、それをプッシュムーブのままコンタクト側を下にして行った方が上手くいく場合などがあることを記載している。
いずれも臨床の現場でもまれている者なら既にやっている事と思うけれども、「ガンステッド専門の一流の人物」もやっているとなると、自分の工夫は邪道ではなかったのだと安心できる。
また、ガンステッドにしろトムソンにしろ、偉大すぎる功績だけに、逆にその後の進歩が止まっているのではないかという危惧もすこしやわらいだ思いだった。臨床現場は千変万化・十人十色なのでやはり現状維持は退化に等しい、ということだろう。
この一冊で治療がガラリと変わるとか、治す悩みが消えるとかではないが、実際参考になる部分も多く、また先輩たちの歩んだ記録に勇気づけられることと思う。
ただ、翻訳は悪くまではないが、乳頭突起を乳様突起と誤記していたり、先に出したコンタクトサイドを逆に滋賀に持ってくるなどの訳がわかりにくいと思う。