スタイルカウンシルのアルバムの中では評価が低いようだけど、それはリリース当時の評価であって、いま聴いてみればこの「コスト・オブ・ラヴィング」はとてもいいアルバムで、ぼくはこのアルバムを他のよりもよく聴く。たしかに前作の「アウァ〜」は傑作だし、ファーストのヨーロピアンテイスト、「コンフェッション〜」のクラシカルな味もみんな悪くない。だったらこの「コスト〜」の70年代の黒人ソウルにあふれた作品も、もっと評価されていいのでは?
たしかにソウルに傾倒しすぎているかもしれないし、d.c,リーに恋しちゃったウェラーがラヴソングにのめりこんだ姿は、ウェラーのイメージとは違うかもしれない。モッズっぽさはかけらもない。けれど、ポール・ウェラーはチェンジング・マンと自分で歌っているとおり、音楽のスタイルはいつも変えてきた。それにウェラーはいつも黒人ミュージックには敬愛を抱いていて、作り出す音もソロになってもブラックへのあこがれはいつも根底にあった。
1はファンキーなリズムがいい。3・4・5などは黒人音楽を下敷きにした良質な白人音楽だ。同時代の同傾向で活躍したシンプリーレッドなど、80年代後半はソウルをもとにしたイギリスのバンドたちがシーンに登場していたけど、それらと比べても何ら遜色はない出来だと思う。8はこれこそスタイルカウンシルのなかでも傑作のソウルナンバー。70年代のマーヴィン・ゲイやアル・グリーンっぽい。7はとてもせつないラブソングでしめつけられるようなウェラーの声がいい。ラブソングだけれど甘すぎることがないのはさすがウェラー。d・c・リーの声もアルバム全体で聴かれてとてもいい。
いくらこのアルバムでリーとラブラブな仲になったのだとしても、ジョンレノンがヨーコに傾き、音楽性までヨーコに傾いてしまったのとは違う。やはりウェラーはウェラー。当時の不評なんかいままで引きずってもしかたない。とにかくいいものは、いいのだから。