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5つ星のうち 5.0
● 故障したピアノで最善の演奏をしたキースに拍手 ●, 2011/5/29
その日はスイス・チューリッヒからの長いドライブの後で、夕方にケルンに着いたキースはとても疲弊していた。何日間も睡眠不足が続き、背の痛みもピークに達して、矯正器具を外せないでいた。 ケルンのオペラ会場に用意されるはずのピアノ「Boesendorfer 290 Imperial」(鍵盤が97ある大きなピアノ)が何かの手違いで届かず、リハーサル用に常置してある、チューニングに膨大な時間がかかりそうな古いピアノしか残っていなかった。それは笑いたくなるほどの小さな幅の薄い簡素なピアノだった。おまけに低音部が上手く出ず、足のペダルはまともに機能していない故障品だった。 キースは当日のコンサートをキャンセルできないか、18歳のドイツで最年少のコンサート主催者 Vera Brandes に直前まで検討してもらったが、チケットは全て売り切れており、演奏を強行することにした。 このコンサートの開始時間は23時30分。「オペラ会場でJAZZ」という当時初めての試みにチャレンジするためには、その日行われるオペラが終わるまで会場の使用が許されなかった。画期的なイベントで観衆を呼び込むため入場料はたったの4ドイツ・マルクに抑えられたプロジェクトだった。ほぼ夜中なのに1400の席は満席になった。 このCDを聞いて、オスティナートを何度も使うので音楽的に違和感を感じる人が多いと思いますが、それはピアノの調子が悪すぎて低音部は正確に音が出ないため、キースがわざわざ左手オスティナートで低音の補強を常に行い、右手で弾ける鍵盤だけで最良のメロディーを考え出し演奏したのです。 キースの声が気になるので嫌いと言う人も多いようですが、全ては彼がその場でベストと考えた演出です。一番高価で完全にメインテナンスされた楽器を演奏するだけが音楽表現ではありません。少なくともJAZZの精神はそうではありません。 普通のプロのピアニストであれば、会場での設定に飽きれてコンサートはキャンセルされたでしょう。非常に劣悪の環境の中で、それでも観衆に感動させる「誰にも真似のできない演奏」をしたキースのプロ意識に拍手したいです。
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5つ星のうち 5.0
これは音楽の域を超越した「宝」だ。, 2004/1/10
レビュー対象商品: ザ・ケルン・コンサート (CD)
学生時代にLPを買ってから今まで果たして何回聴いただろうか。 CDもLPとダブって初めて買ったのもこれだった。 「色んな音楽聴きたいんだけど何かいいのない?」と聞かれ、 「キースジャレットのケルンコンサート聴いてみ」と何回答えただろうか。 楽しい時、辛い時、幸せな時、寂しい時、、、 いつも引っ張り出して聴いていた。 そして今も何かあると聴いている。 一瞬たりとも隙の無い空間に浸りたい為に。 あるいは何かからとき離されたい為に。 ロック、JAZZ、クラシック、レゲエ、演歌に至るまで あまたLP、CDは持ってるが1枚選べ!と言われたら 「ケルンコンサート」と即答するだろう。 これは音楽とかジャンルとかそんなみみっちい世界の代物では無い。 とにかく一度「聴いて」ではなく「体験」してください。
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5つ星のうち 5.0
引き込まれる…が, 2010/12/21
私も音楽をやっており稚拙ながらギターを弾きます。ギターという特性上難しいのですが時折即興のまね事もします。 そんな時頭にイメージとして浮かぶのは案外ギタリストではなくキースのこの作品だったりします。 何故ならギターの即興というとノイズ一歩手前のフリーであるか、逆にかなり形式張った進行であったりするのが通常で非常に参考にしづらい。その点ケルンは実に自由でありながらわかりやすいからです。 あまりにも美しい冒頭のリリカルな調べから徐々にドミナント7thのゴスペル調になり、マイナーとメジャーを行き来しながらフォーク調にまで及ぶ1曲目は、キースの心が解き放たれた観があり聴き手にまで高揚感をもたらします。 ただ音楽をやられる方はお分かりになると思いますが、これは純然たる即興というよりキースの引き出しのランダムな羅列と言ったほうがいいかもしれません。とくに冒頭は作曲とまでは言わないまでもキースの手癖となっているものでしょう。 「天から降ってくる」キースの言葉を借りると全て無心のもの、と言う事でしょうが実際は日々の努力によって指(頭?)に刻まれた膨大な量のフレーズが自然と出てきている。そう私は解釈しています。 少々キースの即興を愛する方々の反感を買いそうな事も書きましたが、純然な即興でなくともキースが凡百のピアニストではない事は明らかですし、ここに刻まれた音楽が素晴らしい事に変わりはありません。まごう事なき傑作といえるでしょう。
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