本作は、ロジャーがピンク・フロイド脱退後、東西冷戦の象徴である壁が築かれ、それが崩壊した翌年の90年7月21日に、無人地帯になっていたベルリン・ポツダム広場に20万人以上といわれる観客を集めて行われた、ロック史上不朽のコンサートの映像作品。人を隔てる壁が築かれて崩壊した直後の、ザ・ウォールにふさわしい都市・タイミングで行われた一大ページェントだ。
私は03年盤しか持っていないが、DD5.1chの音、画質とも良好。
車でステージ中央に乗りつけるスコーピオンズの演奏でショーが開幕。以後、シンディ・ローパー、ザ・バンドのガース・ハドソン、レヴォン・ヘルム、リック・ダンコ、ジョニ・ミッチェル、ヴァン・モリソン、ブライアン・アダムス、シニード・オコナー、オーケストラ、合唱団、ソ連軍楽隊等の豪華ゲストに、ロジャーは1曲全部を任せたり、共演したりするので、ロジャー(&サポート・バンド)だけで演奏する曲は少ないが、ロジャーがショーの主役になるように計算されている。豚などのキャラクターの巨大オブジェ、キャラクターを生身の人間が演じるマリアンヌ・フェイスフル等のゲストや壁に映し出す映像も目を惹く。
演奏途中も高さ20m、長さ300mの壁の「工事」が進み、ショー半ばで壁が完成。ヴァン・モリソン等は壁で聴衆と完全に隔てられて歌う。壁は時に一部が中の見える部屋になる、ロジャーが壁を上下する、等仕掛けも凄い。その壁が最後に一気に崩れる瞬間が劇的。
ボーナスのドキュメンタリーによると、本番途中のアクシデントのため、前日のリハーサル時の映像と差し替えている箇所がある。それがどこかは観てのお楽しみ。
フロイドのザ・ウォール・コレクターズ・ボックスの発売が近づいてきた今、この20年前の空前のショーを振り返るのも意義あることと考える。