2010年米国制作、同年日本公開の本作品は、終末戦争後の地球を舞台に描かれるSFアクション映画。
終末戦争により、ほとんどの人類が死滅した地球で、アメリカ大陸を西へと旅する男、イーライ。
背負ったリュックの中には、大切な「本」が入っている。
彼は使命を感じて「本」を運んでいるのだが、その「本」を奪おうとする男、カーネギーが立ちはだかり、死闘を繰り広げることに…。
【何の本なのか】
本の正体は、物語の早い段階で「表紙」について触れられるシーンがあり、そこで見当がつくようになっています。
このことから、最後まで隠すという意図は制作者側にはなかったものと思われます。
そもそも、原題が「The Book of Eli」で、辞書でBookを調べると、ある「意味」が載っています。
アメリカ人の観客なら、題名からあることを想起し、「やはりそうだったか」と感じたのではないでしょうか。
【宗教について】
主人公イーライが食事の前に祈りを捧げるシーン、カーネギーの「アーメン」というセリフから、この映画が、「キリスト教」を扱った映画であることは明らか。
でも、私はこの映画は、「キリスト教」に特化したものではなく、宗教全般につきものの「信仰」について描いている、と感じました。
絶望から這い上がろうという時、人は「信仰」とどう向き合っていくのか。
そのことを、イーライとカーネギーの姿を通して描写しているのではないか…。
【何が記されていたのか】
この作品の最大の見せ場は、「本が何か」ではなく、「そこに何が記されていたのか」だと思います。
それは、ラストで明らかになりますが、それと同時にこの作品全体を覆っている「秘密」も明らかになります。
それは、イーライの旅がいかに困難であったかを実感させるものです。
また、その秘密を知って観返すと、イーライを演じるデンゼル・ワシントンが細心の注意を払って演技していることが分かり、高評価させていただきました。