本書の主人公、ロシア人のザビーナ・シュピールラインザビーナ・シュピールライン(Sabina Spielrein 1885年 - 1942年)。
1904年8月17日、統合失調症患者としてチューリヒ近郊のブルクヘルツリ精神病院に入院し、
ここで医師として働いていたユングと知り合う。
そして、若きユングの最初の精神分析のクライエントになった。
そしてユングの恋人になった。(転移が起こっていたのである)
しかし既婚者のユングが、彼の子を産みたいというザビーナの希望を撥ねつけたため、
二人の愛は破局を迎えた。
その後、ウィーンでフロイトと会い、ウィーン精神分析学協会に参加。
ユングとの恋愛体験に基づく論文『生成の原因としての破壊』は、
フロイトのタナトス概念に影響を与えた。
ザビーナ・シュピールラインは後の独創的な精神分析家として、
フロイトから高く評価される。
しかし母国ロシアに戻ったザビーナ・シュピールラインは、不遇だった。
スターリン時代の粛清によって弟3人を銃殺される。
背後には、精神分析学に対するスターリン政権からの弾圧があった。
さらに、娘2人とともに、母ザビーナ・シュピールラインは、
ヒトラーのドイツ軍によって虐殺される。
フロイト、ユング、スターリン、ヒトラー、時代の有名人の狭間で
翻弄されたザビーナ・シュピールラインの生涯である。