■「改訂版」とありますが、重複する点はあるものの、ほぼゼロから言葉を選び直して、最新の現状に則して書き直された別著といえます。
■今なお伸び続ける「ザッポス」の、採用、研修、教育、接客、リピートといった、
顧客と社員の両方をしあわせにする「しくみ」について、
現地取材を何度も繰り返され書かれた客観研究書です。
■「そのような企業の事例は知っている。だから学ぶべきところは無い」
と評するのは早計でしょう。
時代は、今まさにソーシャル化しており、顧客の発言は圧倒的パワーを持ちつつあります。
同時に、旧態然とした、羊頭狗肉なブランディングや、ノウハウ的なメディア戦略が淘汰される一方で
企業の「透明性」が要求される中、それを地で行き年商1200億円を生み出している企業の実例です。
まだまだ日本では「勝負している媒体が違う」とおっしゃる向きもあると思いますが、
巨大掲示板の書き込みなどに惑わされることなく、信念をもって顧客と接する、
新しいソーシャル時代において組織全体が活性化し、顧客からも愛される「しくみづくり」の成功例
と捉えてみてはどうでしょう。
■「単なるヨイショ本、偏向的。あとづけの成功理論だ。」
などと感じる方もいらっしゃるようです。
事実、昨年旧版を拝見した時点では、私自身も半信半疑でした。
「現場はそんなに甘くない」ということを身をもって経験してきた一人だからです。
この目で確かめるために、3日間、米ザッポス社の社外研修を受けました。
帰国後、あらためて、この書籍から学び取れることの多さに感心しています。
その衝撃は筆舌に尽くすのは困難で、「信じがたい」と思われるのも無理はないと思います。
また、書けることと書けないこともあったのだろうな、ということも実感しました。
ただ、ザッポス以外にも、数多くの米企業の事例を現地で調査・研究している著者の事務所が
いうなれば、米サービス業が向いている方向性を、ザッポスというサンプルを借りて語っている、
と捉えた方が受け入れやすいかもしれません。
たとえば、「トライバル・リーダーシップ」といった、まだ邦訳されていないビジネス書を
Tribal Leadership: Leveraging Natural Groups to Build a Thriving Organization 現場に導入してゆく様子が克明に綴られている箇所などは、たいへん興味深いところです。
■そういった点でも、2009年発刊の
ザッポスの奇跡 The Zappos Miracles―アマゾンが屈したザッポスの新流通戦略とは の旧刊と比べ、写真点数も多くなり、社内の様子もより分かりやすくなったと感じました。
また、コンテンツボリュームも増え、旧版には掲載されていない
知りたかった「ザッポスのしくみ」が、より深く掘り下げられています。
■ただし、米国と日本では、人種も環境も違います。
ここに書いてある「しくみ」そのものを、そっくりコピペしたところで、せいぜい失敗するのが関の山でしょう。
組織が一丸となるためには・・・、と考えながら読み解けば最高のヒントが見つかりますし、
本書202ページにはそのものずばりが、トニーシェイの言葉とともに書かれています。
■また、この書籍を読み終えたあとにお薦めしたい書籍として
顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか があります。ザッポスのCEO、トニーシェイの目線でザッポスが描かれています。
経営的な目線で臨場感を味わいたい場合は、あわせてご一読されることをお薦めします。