西暦2004年、東西両陣営が対立する世界。互いに兵器開発にしのぎを削っているのだが、その兵器を開発する方法とはたったひとりの兵器ファション・デザイナーの手に委ねられていた。トランス状態に入って霊感を得て兵器のスケッチを起こすという兵器霊媒とも言うべき方法がそれである。だが、この両陣営の兵器開発は実は馴れ合いが成立していて一般大衆への情報操作が行われていた。実際は兵器にはならず生活実用品などへの技術転用がなされていた。西側陣営アメリカの兵器デザイナーのラーズ・パウダードライは、東側陣営ソビエトの兵器デザイナーの女性に関心を寄せる。ある日突然にエイリアンの衛星が地球に飛来してきた為、ラーズは本物の兵器開発の使命を帯びるのだった。
1967年の作品で、ディック自身はこの自作をクズだと言い放っている。ディックの描くSF作品群はどれも彼独特のアイデア溢れる世界観が魅力だが、この作品はその中でもその奇妙な設定でまさにトンデモSFと紙一重に感じる。しかもこの作品はディック作品としては実に読みやすい。ラストはある意味で自分はビックリした。主人公が消えてしまったのだ。どういう意味で消えると言っているのかは読めば分かると思う。その投げやりとも感じられる物語の唐突な締め括り方が、この迷走したストーリー展開を考えると自分は見事な着地だと思うのだが。