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イントロからいきなり引き込まれる"Building a mystery"をオープニングに、"Adea"、"Angel"など美しく流麗なメロディが神秘的に彩られながら続き、クラシックの素養もあるという彼女の柔らかく包み込むようなヴォーカルに浸っているうちに、いつの間にかインストの終曲"Last Dance"。Sarahが弾くピアノが虚空に流れる頃にはすっかり心を奪われ、奥深い感動の余韻に包まれている自分に気付きます。
本作と出会ってもう6年になりますが、ずっと身近に置いて大切にしている作品の一つです。
癒し系ということでエンヤととかく比較されがちなサラであるが、音楽性はまったく異なり、エンヤのようにヴォーカルを多重録音するなど凝った録音技術で環境音楽的なムードを出すことはなく、ギターやピアノを曲毎に取り替えながら輪郭がはっきりとしたメロディをしっとりと歌い上げていく様は、リリス・フェアでも競演しているポーラ・コールやスザンヌ・ヴェガ、或いはジュエルなどと共通している。しかしそれでもなお彼女が女性シンガーソングライターの中でもエンヤと並ぶ傑出した癒し系アーティストと呼ばれるのは、彼女が書く詩の精神性や内面性が非常に高いこと、また彼女の声が凛とした強さと大きな包容力の双方を備え、神のことを直接歌っているわけでもないのに、まるで宗教音楽のような荘厳さを醸し出していることに起因しているのかも知れない。このことは彼女がクラシックの声楽や発声法を本格的に学んでいることとも少なからず関係があるだろう。
そんな彼女の魅力が最大限に引き出されているのが、本作からシングルカットされ大ヒットを記録した7曲目の"Angel"だ。ニコラス・ケイジ&メグ・ライアン主演映画「シティ・オブ・エンジェルス」の挿入曲としても使用され、我々観衆に鮮烈な印象を与えたことでも未だ記憶に新しいが、ここで彼女はドラッグをテーマに取り上げ、それをなんと"天使"に見立てている。彼女は言う。「"天使"は今日を乗り切るためのドラッグであると同時に、やめなければ私たちを死に導く存在なの。」と。本作ではこの曲を始めとして様々なメタファーが至る所に隠されており、リリックを読めば読むほど、またメロディに耳を傾ければ傾けるほど、このアルバムに秘められた彼女の強い思いが胸にグッと迫り来て涙を誘う。間違いなくここ数年間に女性SSWが発表したアルバムの中でも五指に入る傑作だ。
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