ブランドと聞くと、高級ファッションをはじめとした「モノ」を想像するが、本書ではサービスのブランディングを取り扱っている。
面白かったのは、事例の多くで各企業の社員に対して実際にインタビューしている点。
ブランディングのフレームワークとケースの分析的な説明に加えて、そのサービスに携わる現場の人の話によって、なぜそのサービスが「ブランド」となったのかが分かる。
「ブランド」や「ブランディング」というと、見方によっては、「顧客に対して自社と自社の商品をきれいに見せる仕掛けづくり」という、限定的で安っぽい側面が感じられてしまうことがある。
しかしサービスにおいては、モノではなくヒトの行動を通じてお金を得ていくビジネスである点で、そうしたごまかしが利きづらい。
やはり副題でいわれている「おもてなし」的な考え方がサービスに反映されて初めて、ブランドとして成立できるのだろう。
ここで紹介されている企業は、それを各々の方法で「仕組み」化しており、本書ではそうした表側の「ブランド」と裏側の「ビジネスモデル」の両面に言及されていて読み応えがあった。
収められている事例は、低価格の外食チェーン、フィットネスクラブ、予備校、ラグジュアリーコンシェルジュサービスまで幅広く、読み物としても面白い。