サービスサイエンスの概要を一冊で理解したい方に適した本である。著者によると「サービスサイエンスの全体像はまだ誰も解からないという状況を率直に説明した」のが本書であるという。
本書には、サービスサイエンスという学際的な学問が必要になった背景、動向、方法論、展望が広く浅く書かれている。
背景は1章から4章において4つの観点(産業・社会・企業・ICT技術)で詳述されている。
動向についてはIBMが提唱するSSME(5章)、サービスのビジネスモデルについて(7章)。
そしてサービスサイエンスでのHowTo部分にあたる「サービスデザイン」の方法論については6章で、最後に展望が8章でそれぞれ述べられている。
背景に関しては充実しているが、分野自体が黎明期であるため、SSMEやサービスデザインの方法論に関しては詳細に書かれてはいない。概要よりも実用性を求める方は、サービス工学入門にあたるのがいい。どのように工学的にサービスをリデザインするのかが把握できる。
SSMEに関してはIBMのサイト(http://www.ibm.com/developerworks/spaces/ssme)に詳しい。
■補足
実用的な参考書を求めている方が、2009年現在出版されている参考書にモノ足りなさを感じることが想定される。実際にSSMEにおいて、標準となるようなサービスのデザインプロセスやフレームワークの構築が急務として挙げられているという現状がある。そういった方には、サービスサイエンスを構成する分野、オペレーションリサーチ、(サービス)マネジメント、(サービス)工学、マーケティング、eソーシング、サービスコンピューティングにおける実用書が参考になりえる。