古今東西の犬の本を集めていて、避けて通れないのがジェイムズ・サーバー。雑誌「ニューヨーカー」創刊に関わり、同誌に数多くのコラムやエッセイを書いていた作家である。彼は大変な犬好きで、犬にまつわる作品をたくさん残した。彼自身が編集した「Thurber's Dogs」(邦題は「サーバーのイヌ・いぬ・犬」)という本がある。本書はその本の一部とそれ以外の犬作品(文章・マンガ・イラスト)を編者が新たに編み直したもので、訳も新たになった。未完成・未発表の小説も収められている。
1930年代から50年代にかけて書かれた作品だが、古さは全く感じない。ユーモアたっぷりに語られる自身の犬の思い出では、お母さんのお茶目ないたずらに笑ってしまう。一家をあげての犬好きだったことがうかがわれる。愛犬メドゥヴィの死に際して書かれた「メモリアル」は名文。ブラッドハウンドに対する思いいれも相当強かったようで、しばしば誤解されていたこの犬種の名誉挽回のために書かれた作品も興味深い。
また本書の表紙にもなっている「サーバーの犬」。このブラッドハウンド風の犬がどういう経緯で誕生したのかも紹介されている。もちろんこの犬は本書のなかでも大活躍しているし、オマケとしてページ右端でパラパラマンガにもなっていて嬉しい。復刊されただけでなく、新たな作品も加わったのだから、少々高めの価格でも仕方がないかな・・という感じがする。