サヴォア邸は傑作である。誰もがそう信じている。設計製図で図面をトレースさせられたり、建築家が絶賛するのを耳にして、人はこの住宅が二十世紀の名作であることを信じこんでいる。しかし、なぜサヴォア邸は傑作なのか。本当に傑作なのか。この本はこの問いに答えてくれる。
現存するサヴォア邸になるまえのコルビュジエのスタディ過程がとても面白い。そうかコルビュジエは、サヴォア邸のスタディを通してコルビュジエになったのか。サヴォア邸にいくらお金がかかっているか。コルビュジエの減額調整なんてこれまで誰が教えてくれただろうか。
豊富な図面。撮りおろしの美しい陰影のある写真には必ず人が写し込まれている。住み手にとって、訪れる人にとってのサヴォア邸にもフォーカスがあてられる。サヴォア邸研究の新しい次元。既往研究もきっちりとおさえてあって、はじめてサヴォア邸にふれる人にとっても、この本が決定版になるだろうことを確信した。これからの設計製図教科書のスタンダードにもなる予感がする。